ACTA+ JOURNEY
【インタビュー記事】「熱=生命」をアートで可視化。木を焼き、描き重ねる吉田さんの表現
大阪を拠点に活動するアーティストの吉田 琉平さんは、はんだごてやバーナーで木を焼き込み、鮮やかな色彩を描き重ねることで「命」と「夢」を同時に表現する独自の作品を生み出しています。 自然から得たインスピレーションや廃材を取り入れながら、『ACTA+』専属アーティストとして、無印良品との展示やドラマへの作品提供といった新たな挑戦も重ねてきました。 今回は、吉田さんがアートに目覚めたきっかけから、作品に込める思いや技法、今後の展望について伺いました。 制服姿でギャラリーへ。10代で芽生えたアートへの情熱 ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 吉田さん:2001年生まれ、大阪府出身です。現在は大阪を拠点に、はんだごてやバーナーを使って木材を焼き込む作品を制作しています。 直近では、『ACTA+』さんの無印良品グランフロント大阪での展示に参加させていただきました。『ACTA+』さんとの出会いは、InstagramのDMがきっかけで、現在は『ACTA+』の企画に頻繁に参画しています。 instagramで紹介した吉田さんの作品制作の様子 ――もともと、子どもの頃からアートに興味があったのでしょうか? 吉田さん:はい、もともと絵を描くのは好きでしたね。高校2年生の頃、たまたまSNSで「アートの展示をやります」という告知を目にして、「あ、こんな世界があるんだ」と初めて知ったんです。それをきっかけに関西のギャラリーを巡るようになり、大阪や京都、兵庫など、放課後や休日の時間を使ってあちこち訪ね歩きました。 制服姿でギャラリーの扉を叩く高校生は珍しかったらしく、オーナーや作家の方々からは強く印象に残ったようです(笑)そこで出会う方々が、新たなギャラリーや展示の場所を教えてくださり、その情報を頼りに次々と足を運んでいましたね。 ――青春時代にアート巡りを自分でしていたということは、本当に楽しかったんでしょうね。 吉田さん:そうですね。アートを学ぶ環境に身を置いていたわけではなく、周囲に同じ関心を持つ人もいませんでした。だからこそ、自分でどんどん開拓していくっていうのが重要だという考えがあったのだと思います。やっぱり楽しくて、本当にいろいろな場所を回っていました。 ――では、高校卒業後は、アートに関する進路に進んだのでしょうか? 吉田さん:はい。ギャラリー巡りを通じて知ったデザイン専門学校に進学しました。そこでは広告や雑誌の表紙、ロゴをつくったりするイラストレーションやデザインを中心に学びました。今の作品づくりで用いている木材の加工はなく、IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを活用した制作や、デッサンの基礎を身につける授業がメインでしたね。 学内には展示ができるスペースがあったので、自分で企画を立ててクラスメイトを巻き込み、一緒に展示を行うこともよくやっていました。企画自体も好きで、面白さを感じながら実施していましたね。 焼いて描く」二重の表現。“命”と“夢”を共存させる技法 ――吉田さんの作品は、木の温かみと鮮やかな色彩が両方あって、独特の雰囲気がありますよね。技法について教えていただけますか。 吉田さん:私の作品は、木を「焼く」表現と、アクリル絵の具で色を重ねて「描く」という2つの表現を組み合わせて制作しています。「はんだごて」やバーナーで木を焼き込み、その「焼き色」を活かしながら、絵の具で人物やキャラクターのようなモチーフを描き加えています。 もともと最初の頃は、ペンを使って木製パネルに細かい細密画を描くことをしていました。画材屋さんで木製パネルを買い、使っていたんですが、ふと「木の素材そのものを活かしたら面白いのではないか?」と思ったんです。そんなとき、木を焼いて表現するはんだごての技法を使う作家さんを知り、取り入れてみたのがスタートでしたね。 はんだごては焼いている瞬間、熱の温かみや揺らぎや変化がとても面白いなと思い、使うようになりました。木が少しずつ焦げていく過程を見ていると、「生きているなぁ」という感覚に移り変わっていく感じがします。 ――「焼く」という表現の魅力は、何でしょうか? 吉田さん:火や熱に触れているとき、自分の中で強く「命」を感じるんです。生き物は熱がなければ活動できないですよね。氷点下でも生きていける生き物もいますが、結局は休眠状態でじっとしているだけです。でも、適温になると一気に動き出します。そう思うと、生命活動には熱が必要だと思うんです。 私にとって、「火や熱の存在=生きている存在」と感じるんですよね。そこは自分が生きているっていう存在や、毎日の中で感じた輝きを、熱を使って作品をつくりたいという思いがあって、熱に固執しています。 ――吉田さんの作品は、絵の具の鮮やかさと、木を焼いた部分の焦げ色。その二面性が独特の魅力になっていますよね。 吉田さん:はい。焼いている部分と絵の具の部分を分けている理由は、絵の具で描く部分が「二次元の存在」、つまり「空想」や「頭の中」の世界を表しているからです。一方で、木を焼いた部分は「命」や「生」をイメージしています。密接に感じる生命の存在を、火の焦げ色で生々しく表現したいという思いがあって。...
【インタビュー記事】「熱=生命」をアートで可視化。木を焼き、描き重ねる吉田さんの表現
大阪を拠点に活動するアーティストの吉田 琉平さんは、はんだごてやバーナーで木を焼き込み、鮮やかな色彩を描き重ねることで「命」と「夢」を同時に表現する独自の作品を生み出しています。 自然から得たインスピレーションや廃材を取り入れながら、『ACTA+』専属アーティストとして、無印良品との展示やドラマへの作品提供といった新たな挑戦も重ねてきました。 今回は、吉田さんがアートに目覚めたきっかけから、作品に込める思いや技法、今後の展望について伺いました。 制服姿でギャラリーへ。10代で芽生えたアートへの情熱 ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 吉田さん:2001年生まれ、大阪府出身です。現在は大阪を拠点に、はんだごてやバーナーを使って木材を焼き込む作品を制作しています。 直近では、『ACTA+』さんの無印良品グランフロント大阪での展示に参加させていただきました。『ACTA+』さんとの出会いは、InstagramのDMがきっかけで、現在は『ACTA+』の企画に頻繁に参画しています。 instagramで紹介した吉田さんの作品制作の様子 ――もともと、子どもの頃からアートに興味があったのでしょうか? 吉田さん:はい、もともと絵を描くのは好きでしたね。高校2年生の頃、たまたまSNSで「アートの展示をやります」という告知を目にして、「あ、こんな世界があるんだ」と初めて知ったんです。それをきっかけに関西のギャラリーを巡るようになり、大阪や京都、兵庫など、放課後や休日の時間を使ってあちこち訪ね歩きました。 制服姿でギャラリーの扉を叩く高校生は珍しかったらしく、オーナーや作家の方々からは強く印象に残ったようです(笑)そこで出会う方々が、新たなギャラリーや展示の場所を教えてくださり、その情報を頼りに次々と足を運んでいましたね。 ――青春時代にアート巡りを自分でしていたということは、本当に楽しかったんでしょうね。 吉田さん:そうですね。アートを学ぶ環境に身を置いていたわけではなく、周囲に同じ関心を持つ人もいませんでした。だからこそ、自分でどんどん開拓していくっていうのが重要だという考えがあったのだと思います。やっぱり楽しくて、本当にいろいろな場所を回っていました。 ――では、高校卒業後は、アートに関する進路に進んだのでしょうか? 吉田さん:はい。ギャラリー巡りを通じて知ったデザイン専門学校に進学しました。そこでは広告や雑誌の表紙、ロゴをつくったりするイラストレーションやデザインを中心に学びました。今の作品づくりで用いている木材の加工はなく、IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを活用した制作や、デッサンの基礎を身につける授業がメインでしたね。 学内には展示ができるスペースがあったので、自分で企画を立ててクラスメイトを巻き込み、一緒に展示を行うこともよくやっていました。企画自体も好きで、面白さを感じながら実施していましたね。 焼いて描く」二重の表現。“命”と“夢”を共存させる技法 ――吉田さんの作品は、木の温かみと鮮やかな色彩が両方あって、独特の雰囲気がありますよね。技法について教えていただけますか。 吉田さん:私の作品は、木を「焼く」表現と、アクリル絵の具で色を重ねて「描く」という2つの表現を組み合わせて制作しています。「はんだごて」やバーナーで木を焼き込み、その「焼き色」を活かしながら、絵の具で人物やキャラクターのようなモチーフを描き加えています。 もともと最初の頃は、ペンを使って木製パネルに細かい細密画を描くことをしていました。画材屋さんで木製パネルを買い、使っていたんですが、ふと「木の素材そのものを活かしたら面白いのではないか?」と思ったんです。そんなとき、木を焼いて表現するはんだごての技法を使う作家さんを知り、取り入れてみたのがスタートでしたね。 はんだごては焼いている瞬間、熱の温かみや揺らぎや変化がとても面白いなと思い、使うようになりました。木が少しずつ焦げていく過程を見ていると、「生きているなぁ」という感覚に移り変わっていく感じがします。 ――「焼く」という表現の魅力は、何でしょうか? 吉田さん:火や熱に触れているとき、自分の中で強く「命」を感じるんです。生き物は熱がなければ活動できないですよね。氷点下でも生きていける生き物もいますが、結局は休眠状態でじっとしているだけです。でも、適温になると一気に動き出します。そう思うと、生命活動には熱が必要だと思うんです。 私にとって、「火や熱の存在=生きている存在」と感じるんですよね。そこは自分が生きているっていう存在や、毎日の中で感じた輝きを、熱を使って作品をつくりたいという思いがあって、熱に固執しています。 ――吉田さんの作品は、絵の具の鮮やかさと、木を焼いた部分の焦げ色。その二面性が独特の魅力になっていますよね。 吉田さん:はい。焼いている部分と絵の具の部分を分けている理由は、絵の具で描く部分が「二次元の存在」、つまり「空想」や「頭の中」の世界を表しているからです。一方で、木を焼いた部分は「命」や「生」をイメージしています。密接に感じる生命の存在を、火の焦げ色で生々しく表現したいという思いがあって。...
【博多・阪急】「廃棄」から「創造」へ。『ACTA+』のアート・ファッション雑貨ポップアップ展
廃棄素材がファッション雑貨に。『ACTA+』が博多阪急で届けるポップアップイベント 2025年9月24日(水)から9月30日(火)まで、博多阪急にて開催された『ART PARTY』に合わせ、『ACTA+(アクタプラス)』が『Art & Fashion POP UP』を開催しました。会場は、博多阪急5階婦人服フロア「ステージ5」。 今回のポップアップは、廃棄物を生かしたグッズ販売がメインとなり、バッグやお財布、アクセサリーなど、日常使いできるファッション雑貨が多数並びました。 本来であれば捨てられてしまう素材が、『ACTA+』のアーティストによって新たな命を吹き込まれ、日常に彩りを与えるアイテムへと昇華。会場全体は、サステナブルな未来を体感できる空間となりました。 【Art & Fashion POP UP 開催概要】 ・会場:博多阪急 ・所在地:福岡市博多区博多駅中央街1番1号 ・開催期間:9月24日(水)~9月30日(火) ・営業時間:10:00~20:00 ※最終日は18:00まで 壊れた陶器、リンゴの皮、牛乳パックも。「捨てる」ものが「生まれ変わって」アイテムに 今回の『Art & Fashion POP UP』で販売したグッズには、アクセサリーやバッグ、食器など、日常使いできるファッション雑貨が多数ラインナップしました。 ここでは、その中から4つのアイテムをピックアップして紹介します。 【金継アクセサリー】 本来なら捨てられる壊れた陶磁器のかけらを、金継ぎや呼び継ぎの技法によって、ペンダントやピアスなどのアクセサリーにしています。「欠けや割れは、本当に終わりなのだろうか」というアーティスト 梨絵さんの問いかけのもと、傷をそのまま生かすことで新たな魅力が生まれました。欠けが個性となった、ひとつとして同じもののない豊かな表情を持つアクセサリーです。...
【博多・阪急】「廃棄」から「創造」へ。『ACTA+』のアート・ファッション雑貨ポップアップ展
廃棄素材がファッション雑貨に。『ACTA+』が博多阪急で届けるポップアップイベント 2025年9月24日(水)から9月30日(火)まで、博多阪急にて開催された『ART PARTY』に合わせ、『ACTA+(アクタプラス)』が『Art & Fashion POP UP』を開催しました。会場は、博多阪急5階婦人服フロア「ステージ5」。 今回のポップアップは、廃棄物を生かしたグッズ販売がメインとなり、バッグやお財布、アクセサリーなど、日常使いできるファッション雑貨が多数並びました。 本来であれば捨てられてしまう素材が、『ACTA+』のアーティストによって新たな命を吹き込まれ、日常に彩りを与えるアイテムへと昇華。会場全体は、サステナブルな未来を体感できる空間となりました。 【Art & Fashion POP UP 開催概要】 ・会場:博多阪急 ・所在地:福岡市博多区博多駅中央街1番1号 ・開催期間:9月24日(水)~9月30日(火) ・営業時間:10:00~20:00 ※最終日は18:00まで 壊れた陶器、リンゴの皮、牛乳パックも。「捨てる」ものが「生まれ変わって」アイテムに 今回の『Art & Fashion POP UP』で販売したグッズには、アクセサリーやバッグ、食器など、日常使いできるファッション雑貨が多数ラインナップしました。 ここでは、その中から4つのアイテムをピックアップして紹介します。 【金継アクセサリー】 本来なら捨てられる壊れた陶磁器のかけらを、金継ぎや呼び継ぎの技法によって、ペンダントやピアスなどのアクセサリーにしています。「欠けや割れは、本当に終わりなのだろうか」というアーティスト 梨絵さんの問いかけのもと、傷をそのまま生かすことで新たな魅力が生まれました。欠けが個性となった、ひとつとして同じもののない豊かな表情を持つアクセサリーです。...
【イベントレポート新潟・山下家具店】山下家具店と『ACTA+』が共催。家具端材を彩るアートコー...
山下家具店と『ACTA+』が共催。夏休みの子ども向けアートコースター制作ワークショップ 2025年8月23日(土)~24日(日)、新潟県新潟市にある「山下家具店 ヤマシタ亀田店」と『ACTA+(アクタプラス)』によるコラボレーション企画「ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!」が開催されました。 山下家具店は、新潟県内で複数店舗を展開する、地域では広く知られた有名インテリア・家具専門店です。機能性と感性の両面から住空間の快適を追求しつつ、安心・安全にこだわった商品と専門的なノウハウを提案し、暮らしをより豊かにする住まいづくりを支えています。 今回の取り組みは、約1年前にACTA+が出展した東京で開催の展示会をきっかけに実現しました。暮らしを支える家具づくりを行う山下家具店と、廃材を活かしたアート事業に取り組む『ACTA+』。両者が共感し、地域に根ざした取り組みとして形になったのが本ワークショップです。 【『ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!』開催概要】 ・会場:山下家具店 ヤマシタ亀田店 新潟県新潟市江南区早苗2-525 ・開催期間:2025年8月23日(土)・24日(日)10:20〜17:00 ・対象年齢:小学校1~6年生(未就学児の参加もあり) ・所要時間:60分 ・参加費:無料 ・講師:花畑 乃中(はなばた のなか) 家具の端材が彩り豊かなコースターに。92名の子どもたちが夢中になったワークショップ 今回のワークショップ、「ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!」では、山下家具店の製造過程で生まれた端材を素材として活用し、世界にひとつだけのアートコースターを制作しました。 アートコースター制作は、あらかじめ正方形に加工された端材(木片)の表面に下絵が描かれており、子どもたちは木製塗料を使って自由に色を塗り重ねていく流れです。本来は廃棄されるはずの木片に彩りを加えることで、コースターとして新たな価値を生み出す体験となりました。 参加者は未就学児から小学6年生までと幅広く、2日間で計92名。ワークショップの講師はクリエイターの花畑 乃中さんが務め、子どもたち一人ひとりの感性を尊重しながら、資源を大切にする気持ちを自然に学べるような場を提供しました。 今回の取り組みは、持続可能な社会づくりへの小さな一歩を示すイベントになりました。...
【イベントレポート新潟・山下家具店】山下家具店と『ACTA+』が共催。家具端材を彩るアートコー...
山下家具店と『ACTA+』が共催。夏休みの子ども向けアートコースター制作ワークショップ 2025年8月23日(土)~24日(日)、新潟県新潟市にある「山下家具店 ヤマシタ亀田店」と『ACTA+(アクタプラス)』によるコラボレーション企画「ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!」が開催されました。 山下家具店は、新潟県内で複数店舗を展開する、地域では広く知られた有名インテリア・家具専門店です。機能性と感性の両面から住空間の快適を追求しつつ、安心・安全にこだわった商品と専門的なノウハウを提案し、暮らしをより豊かにする住まいづくりを支えています。 今回の取り組みは、約1年前にACTA+が出展した東京で開催の展示会をきっかけに実現しました。暮らしを支える家具づくりを行う山下家具店と、廃材を活かしたアート事業に取り組む『ACTA+』。両者が共感し、地域に根ざした取り組みとして形になったのが本ワークショップです。 【『ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!』開催概要】 ・会場:山下家具店 ヤマシタ亀田店 新潟県新潟市江南区早苗2-525 ・開催期間:2025年8月23日(土)・24日(日)10:20〜17:00 ・対象年齢:小学校1~6年生(未就学児の参加もあり) ・所要時間:60分 ・参加費:無料 ・講師:花畑 乃中(はなばた のなか) 家具の端材が彩り豊かなコースターに。92名の子どもたちが夢中になったワークショップ 今回のワークショップ、「ART WORK SHOP 家具づくりの端材からオリジナルカラーのアートコースターをつくろう!」では、山下家具店の製造過程で生まれた端材を素材として活用し、世界にひとつだけのアートコースターを制作しました。 アートコースター制作は、あらかじめ正方形に加工された端材(木片)の表面に下絵が描かれており、子どもたちは木製塗料を使って自由に色を塗り重ねていく流れです。本来は廃棄されるはずの木片に彩りを加えることで、コースターとして新たな価値を生み出す体験となりました。 参加者は未就学児から小学6年生までと幅広く、2日間で計92名。ワークショップの講師はクリエイターの花畑 乃中さんが務め、子どもたち一人ひとりの感性を尊重しながら、資源を大切にする気持ちを自然に学べるような場を提供しました。 今回の取り組みは、持続可能な社会づくりへの小さな一歩を示すイベントになりました。...
【お客様事例】「シンプル、ナチュラルだけではない無印良品」を発信。無印良品グランフロント大阪と...
西日本の旗艦店として「情報発信ができる店舗」を掲げる「無印良品 グランフロント大阪」。広報や地域連携、イベント企画を担うコミュニケーション部門のマネージャー・福岡慶子さんは、この店舗だけに設けられた部門を率いて、幅広い活動を担っています。 2025年7月に開催された『ACTA+』との企画展『暮らしの中の、ちいさな創造展-「捨てる」が変わる10日間。-』では、店舗で日常的に出る廃材をアート作品へと生まれ変わらせて、展示や販売、ワークショップにつなげました。 お客さまに「シンプル、ナチュラルだけではない無印良品」の、新たな側面を伝える機会となったのです。 今回は、『ACTA+』との出会いや企画展開催の理由、旗艦店としてどのような未来を目指しているのかについて、福岡さんにお話を伺いました。 イベント運営から地域連携まで。西日本旗艦店を支える福岡さんの役割 ――『ACTA+』橋本(以降、橋本):まずは、福岡さんの現在の役割とお仕事について教えていただけますか? 福岡 慶子さん(以降、福岡さん):私は現在、「無印良品 グランフロント大阪」のコミュニケーション部門で、マネージャーを務めています。担当している業務は、店舗内の販促ツールの管理や屋外広告などの販促業務全般に加えて、梅田エリアの広報対応やイベントの企画・運営、地域連携など、幅広く担っています。行政と防災関連の連携などを行うこともありますね。 ――橋本:幅広くご活躍されていますね。グランフロント大阪店は、無印良品の中でも特別な位置づけだと伺っています。 福岡さん:はい。グランフロント大阪店は、西日本における無印良品の旗艦店という位置づけで、「情報発信店舗」というテーマを掲げた店舗なんです。商品やサービスを提供するだけでなく、企画や活動を継続的に発信したり、地域とのつながりを深めたりする役割も担っています。 そして、私の部署であるコミュニケーション部門は、会社全体でこの店舗だけに設けられた部門なんですよ。 ――橋本:そうなんですね。福岡さんは、無印良品を展開する株式会社良品計画に就かれた期間が長いとお伺いしましたが、今の仕事はしたいことと重なっているのでしょうか。 福岡さん:そうですね。私は良品計画に2000年に入社して8年勤務した後、一度出産を機に退職しました。2021年に会社のカムバック制度を利用して復職し、2023年6月から現在の担当になったのです。 無印良品の思想や価値観を理解したうえで、一緒に取り組んでくださる方々と関係を築くことが、もともと私のしたかったことでした。今はまさに、そのしたいことができている状態で、外部の方とさまざまな話をすることは得意でもあり、大好きなことですね。 今回の『ACTA+』さんとの企画展も、その一環として私が主担当として携わらせていただきました。 アップサイクルへの共感と熱意が決め手。『ACTA+』と企画展を開催した理由 ――橋本:では、今回『ACTA+』との企画展開催の経緯を教えていただけますか? 福岡さん:社内の循環推進部の担当者から、『ACTA+』さんをご紹介いただいたことがきっかけです。以前、『ACTA+』さんが難波高島屋で開催していたポップアップを訪れた際、実際に作品や活動についてお話を伺ったんです。 無印良品では、ブランドができた当初から「サステナビリティ」や「循環」という考え方が根底にあります。近年は、店舗で回収した衣料品やプラスチック製品をリユース・リサイクルする「ReMUJI(リムジ)」という取り組みも始め、環境問題への取り組みを強化しています。そうした中で、「プラスアルファとして自分たちができることは何だろう?」と考え、さまざまなイベントを企画してきました。 『ACTA+』さんとのお話では、捨てられてしまうはずのものをアップサイクルによって新しい価値へと生まれ変わらせると聞き、強く共感しました。無印良品としても、そうしたストーリーをお客さまに伝えられたら新しい発信になると感じたのです。 アップサイクルという言葉は広く知られていますが、価値がなければまた捨てられてしまう可能性があります。その点、『ACTA+』さんの活動は「アート」に昇華させることで、より息の長いアップサイクルが実現できると感じ、ぜひご一緒したいと考えたことがスタートですね。 ――橋本:「『ACTA+』から熱量を感じた」ことも決め手と伺いましたが、どのような部分だったのでしょうか。 福岡さん:『ACTA+』さんは、作品を一つひとつ丁寧に説明してくださる中で、背景やストーリーを語るだけでなく「ここがすごくいいでしょう!」と心から伝えてくれる温かさがあったんです。 それぞれのアーティストさんの想いや活動に、『ACTA+』の方々が共感し合う姿にも感銘を受け、その熱量が一番の決め手になりました。 アーティストのファンも来店。『ACTA+』との企画展で広がる新たな顧客層 ――橋本:今回の『ACTA+』との企画展で、どのようなことを期待されていましたか?...
【お客様事例】「シンプル、ナチュラルだけではない無印良品」を発信。無印良品グランフロント大阪と...
西日本の旗艦店として「情報発信ができる店舗」を掲げる「無印良品 グランフロント大阪」。広報や地域連携、イベント企画を担うコミュニケーション部門のマネージャー・福岡慶子さんは、この店舗だけに設けられた部門を率いて、幅広い活動を担っています。 2025年7月に開催された『ACTA+』との企画展『暮らしの中の、ちいさな創造展-「捨てる」が変わる10日間。-』では、店舗で日常的に出る廃材をアート作品へと生まれ変わらせて、展示や販売、ワークショップにつなげました。 お客さまに「シンプル、ナチュラルだけではない無印良品」の、新たな側面を伝える機会となったのです。 今回は、『ACTA+』との出会いや企画展開催の理由、旗艦店としてどのような未来を目指しているのかについて、福岡さんにお話を伺いました。 イベント運営から地域連携まで。西日本旗艦店を支える福岡さんの役割 ――『ACTA+』橋本(以降、橋本):まずは、福岡さんの現在の役割とお仕事について教えていただけますか? 福岡 慶子さん(以降、福岡さん):私は現在、「無印良品 グランフロント大阪」のコミュニケーション部門で、マネージャーを務めています。担当している業務は、店舗内の販促ツールの管理や屋外広告などの販促業務全般に加えて、梅田エリアの広報対応やイベントの企画・運営、地域連携など、幅広く担っています。行政と防災関連の連携などを行うこともありますね。 ――橋本:幅広くご活躍されていますね。グランフロント大阪店は、無印良品の中でも特別な位置づけだと伺っています。 福岡さん:はい。グランフロント大阪店は、西日本における無印良品の旗艦店という位置づけで、「情報発信店舗」というテーマを掲げた店舗なんです。商品やサービスを提供するだけでなく、企画や活動を継続的に発信したり、地域とのつながりを深めたりする役割も担っています。 そして、私の部署であるコミュニケーション部門は、会社全体でこの店舗だけに設けられた部門なんですよ。 ――橋本:そうなんですね。福岡さんは、無印良品を展開する株式会社良品計画に就かれた期間が長いとお伺いしましたが、今の仕事はしたいことと重なっているのでしょうか。 福岡さん:そうですね。私は良品計画に2000年に入社して8年勤務した後、一度出産を機に退職しました。2021年に会社のカムバック制度を利用して復職し、2023年6月から現在の担当になったのです。 無印良品の思想や価値観を理解したうえで、一緒に取り組んでくださる方々と関係を築くことが、もともと私のしたかったことでした。今はまさに、そのしたいことができている状態で、外部の方とさまざまな話をすることは得意でもあり、大好きなことですね。 今回の『ACTA+』さんとの企画展も、その一環として私が主担当として携わらせていただきました。 アップサイクルへの共感と熱意が決め手。『ACTA+』と企画展を開催した理由 ――橋本:では、今回『ACTA+』との企画展開催の経緯を教えていただけますか? 福岡さん:社内の循環推進部の担当者から、『ACTA+』さんをご紹介いただいたことがきっかけです。以前、『ACTA+』さんが難波高島屋で開催していたポップアップを訪れた際、実際に作品や活動についてお話を伺ったんです。 無印良品では、ブランドができた当初から「サステナビリティ」や「循環」という考え方が根底にあります。近年は、店舗で回収した衣料品やプラスチック製品をリユース・リサイクルする「ReMUJI(リムジ)」という取り組みも始め、環境問題への取り組みを強化しています。そうした中で、「プラスアルファとして自分たちができることは何だろう?」と考え、さまざまなイベントを企画してきました。 『ACTA+』さんとのお話では、捨てられてしまうはずのものをアップサイクルによって新しい価値へと生まれ変わらせると聞き、強く共感しました。無印良品としても、そうしたストーリーをお客さまに伝えられたら新しい発信になると感じたのです。 アップサイクルという言葉は広く知られていますが、価値がなければまた捨てられてしまう可能性があります。その点、『ACTA+』さんの活動は「アート」に昇華させることで、より息の長いアップサイクルが実現できると感じ、ぜひご一緒したいと考えたことがスタートですね。 ――橋本:「『ACTA+』から熱量を感じた」ことも決め手と伺いましたが、どのような部分だったのでしょうか。 福岡さん:『ACTA+』さんは、作品を一つひとつ丁寧に説明してくださる中で、背景やストーリーを語るだけでなく「ここがすごくいいでしょう!」と心から伝えてくれる温かさがあったんです。 それぞれのアーティストさんの想いや活動に、『ACTA+』の方々が共感し合う姿にも感銘を受け、その熱量が一番の決め手になりました。 アーティストのファンも来店。『ACTA+』との企画展で広がる新たな顧客層 ――橋本:今回の『ACTA+』との企画展で、どのようなことを期待されていましたか?...
【インタビュー記事】植物と廃材で語る、環境へのメッセージ。渡部芳奈子さんのいけばなアート
2025年4月、東京・玉川高島屋で開催された『ACTA+』のポップアップストアで、注目を集めた作品がありました。 約20個のじょうろを使い、そこに植物を添えて「廃棄物から命が生まれる」イメージを表現したインスタレーション。制作したのは、いけばなと、植物以外の「異質素材」を用いた立体作品を手がけるアーティスト・渡部芳奈子さんです。 会場では、ある親子が作品の前で足を止め、「すごい、お花みたいできれいですね」と感想を口にしながら、「この人が作ったんだよ」と母親が渡部さんを紹介する場面も。子どもが「学校で環境問題の勉強をしているんです」と話すと、渡部さんは作品の意図を伝え、親子は熱心に耳を傾けていました。 廃棄物に込められた想いや、環境問題へのメッセージが作品を通じて伝わる瞬間でした。 今回は、渡部さんの作品制作の背景や『ACTA+』との出会い、そして今後の活動についてお話を伺いました。 「花を生けるだけでは物足りない」という想いから、華道の“枠”を超える作品づくりへ ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 渡部芳奈子さん:私は普段、会社員のエンジニアをしています。大学では理系で数学を専攻し、研究室では、音声合成やメディアアートを学んでいました。もともとアートに興味があり、メディアアートを作りたくて理系の大学に進学したんです。 ――子どもの頃からアートやものづくりが好きだったのでしょうか。 渡部芳奈子さん:そうですね。子どもの頃からモノを作るのが好きでした。 当時はアイロンビーズなどが流行っていて、そういったものを夢中で作っていたようです。手を動かして何かを作るのが、好きだったんだと思います。 また、自宅には「ガラクタボックス」と呼んでいた箱があって、プレゼントの包装紙やおもしろい形の素材をその箱に集めていたんです。折ったり貼ったりして、自分なりに遊んでいました。 ――その遊びが、ものづくりの原体験になっていたのかもしれませんね。では、華道はいつ始めたのでしょうか。 渡部芳奈子さん:実は華道との出会いは社会人になってからです。勤務先の部活動で華道を習い始めました。実際に始めてみたら、想像以上におもしろくて、夢中になりました。 ただ、続けていくうちに「きれいに花を生けるだけでは物足りないな」と感じるようになって。 いけばなの展示では、タイトルを付けないこともあるのですが、もっと表現の幅を増やしたいと思い、次第に社外の華道の展示にも参加するようになりました。たとえば、環境への問題意識を作品を通して伝えられたらなと、コンセプチュアルアート展へ環境問題をテーマにした作品を出展しました。 ――では、『ACTA+』との出会いを教えてください。 渡部芳奈子さん:2024年に開催された『ACTA+』の公募展に応募したのが最初のきっかけです。結果的には落選してしまったのですが、その後『ACTA+』の方がInstagramをフォローしてくださって。それが、出会いの始まりでしたね。 卵パックもじょうろも、アートに変える。「草月流いけばな」と渡部さんの制作プロセス ――渡部さんの作品には、植物以外の素材も多く使われていますよね。お花を使わないことは、いけばなの世界ではご法度ではないのでしょうか? 渡部芳奈子さん:たしかに、ご法度の流派もあるかもしれません。でも、私が習っている「草月流(そうげつりゅう)」という流派では、植物以外の素材である「異質素材」を用いることも取り入れられているんです。 実際、草月流の教科書にも「異質素材の構成」という植物以外の異質素材だけを使って表現するカリキュラムがあって、卵パックや緩衝材のような身近な素材を使って作品を作ります。 ――異素材だけで生けるというのは、まるで現代アートのようですね。 渡部芳奈子さん:そうですね。草月流のいけばなは、私にとって「立体造形」に近い感覚です。彫刻のようなイメージで捉えています。そこが、私がおもしろいと感じた理由のひとつかもしれません。 玉川高島屋で発表した作品『141.3』 ――制作のプロセスについても教えてください。インスピレーションで作るのか、それとも最初から完成イメージがあるのでしょうか? 渡部芳奈子さん:どちらのパターンもありますね。 コンセプトから作品を考える場合は、「何を伝えたいのか、それをどの素材で表現するのか」を自分でブレストしていきます。1〜2か月ぐらい毎日考えていると、素材のアイデアが出てくることがあります。先にコンセプトを決めてから、芋づる式に素材が決まっていく流れですね。 たとえば今回の作品、「じょうろを約20個を使用したインスタレーション」を制作したときは、まず「環境問題をテーマにしたい」と考え、「水」をテーマに決めました。それから、「オレンジを育てるのに必要な水の量を表すように、じょうろを積み上げたらおもしろいかな」と思いついたんです。 ――ちなみに、今回の作品には植物(かすみ草)も使われていましたね。どのような意味が込められているのでしょうか?...
【インタビュー記事】植物と廃材で語る、環境へのメッセージ。渡部芳奈子さんのいけばなアート
2025年4月、東京・玉川高島屋で開催された『ACTA+』のポップアップストアで、注目を集めた作品がありました。 約20個のじょうろを使い、そこに植物を添えて「廃棄物から命が生まれる」イメージを表現したインスタレーション。制作したのは、いけばなと、植物以外の「異質素材」を用いた立体作品を手がけるアーティスト・渡部芳奈子さんです。 会場では、ある親子が作品の前で足を止め、「すごい、お花みたいできれいですね」と感想を口にしながら、「この人が作ったんだよ」と母親が渡部さんを紹介する場面も。子どもが「学校で環境問題の勉強をしているんです」と話すと、渡部さんは作品の意図を伝え、親子は熱心に耳を傾けていました。 廃棄物に込められた想いや、環境問題へのメッセージが作品を通じて伝わる瞬間でした。 今回は、渡部さんの作品制作の背景や『ACTA+』との出会い、そして今後の活動についてお話を伺いました。 「花を生けるだけでは物足りない」という想いから、華道の“枠”を超える作品づくりへ ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 渡部芳奈子さん:私は普段、会社員のエンジニアをしています。大学では理系で数学を専攻し、研究室では、音声合成やメディアアートを学んでいました。もともとアートに興味があり、メディアアートを作りたくて理系の大学に進学したんです。 ――子どもの頃からアートやものづくりが好きだったのでしょうか。 渡部芳奈子さん:そうですね。子どもの頃からモノを作るのが好きでした。 当時はアイロンビーズなどが流行っていて、そういったものを夢中で作っていたようです。手を動かして何かを作るのが、好きだったんだと思います。 また、自宅には「ガラクタボックス」と呼んでいた箱があって、プレゼントの包装紙やおもしろい形の素材をその箱に集めていたんです。折ったり貼ったりして、自分なりに遊んでいました。 ――その遊びが、ものづくりの原体験になっていたのかもしれませんね。では、華道はいつ始めたのでしょうか。 渡部芳奈子さん:実は華道との出会いは社会人になってからです。勤務先の部活動で華道を習い始めました。実際に始めてみたら、想像以上におもしろくて、夢中になりました。 ただ、続けていくうちに「きれいに花を生けるだけでは物足りないな」と感じるようになって。 いけばなの展示では、タイトルを付けないこともあるのですが、もっと表現の幅を増やしたいと思い、次第に社外の華道の展示にも参加するようになりました。たとえば、環境への問題意識を作品を通して伝えられたらなと、コンセプチュアルアート展へ環境問題をテーマにした作品を出展しました。 ――では、『ACTA+』との出会いを教えてください。 渡部芳奈子さん:2024年に開催された『ACTA+』の公募展に応募したのが最初のきっかけです。結果的には落選してしまったのですが、その後『ACTA+』の方がInstagramをフォローしてくださって。それが、出会いの始まりでしたね。 卵パックもじょうろも、アートに変える。「草月流いけばな」と渡部さんの制作プロセス ――渡部さんの作品には、植物以外の素材も多く使われていますよね。お花を使わないことは、いけばなの世界ではご法度ではないのでしょうか? 渡部芳奈子さん:たしかに、ご法度の流派もあるかもしれません。でも、私が習っている「草月流(そうげつりゅう)」という流派では、植物以外の素材である「異質素材」を用いることも取り入れられているんです。 実際、草月流の教科書にも「異質素材の構成」という植物以外の異質素材だけを使って表現するカリキュラムがあって、卵パックや緩衝材のような身近な素材を使って作品を作ります。 ――異素材だけで生けるというのは、まるで現代アートのようですね。 渡部芳奈子さん:そうですね。草月流のいけばなは、私にとって「立体造形」に近い感覚です。彫刻のようなイメージで捉えています。そこが、私がおもしろいと感じた理由のひとつかもしれません。 玉川高島屋で発表した作品『141.3』 ――制作のプロセスについても教えてください。インスピレーションで作るのか、それとも最初から完成イメージがあるのでしょうか? 渡部芳奈子さん:どちらのパターンもありますね。 コンセプトから作品を考える場合は、「何を伝えたいのか、それをどの素材で表現するのか」を自分でブレストしていきます。1〜2か月ぐらい毎日考えていると、素材のアイデアが出てくることがあります。先にコンセプトを決めてから、芋づる式に素材が決まっていく流れですね。 たとえば今回の作品、「じょうろを約20個を使用したインスタレーション」を制作したときは、まず「環境問題をテーマにしたい」と考え、「水」をテーマに決めました。それから、「オレンジを育てるのに必要な水の量を表すように、じょうろを積み上げたらおもしろいかな」と思いついたんです。 ――ちなみに、今回の作品には植物(かすみ草)も使われていましたね。どのような意味が込められているのでしょうか?...
【インタビュー記事】漁網の作品が問いかける、見えにくい海の環境問題
「海のごみ」と聞いて、まず思い浮かべるのは、ペットボトルやレジ袋、ストローなどのプラスチックごみではないでしょうか。しかし、海に漂うごみはそれだけではありません。 海洋ごみの中で特に問題とされているのが「漁網(魚を捕まえる網)」です。 WWF ジャパンの調査(※)では、太平洋ゴミベルト(GPGP)に存在する直径5cm以上の漂流プラスチックの質量のうち、約46%が漁網と報告されています。さらに、回収された75〜86%が漁具であることも明らかになっています。 今回は、廃棄された漁網を用いたアート制作を行う『ACTA+』アーティスト・しばたみなみさんに、漁網が抱える課題や見えにくい海の環境問題の現実、私たちが環境のためにできることについてのお話を伺いました。 ※参考:『日本における ゴーストギア対策の 現在地』|WWF ジャパン 拾えないごみ「漁網」はなぜ海に?回収現場の現実 ――そもそも、なぜ海に漁網があるのでしょうか? しばたみなみさん:漁をしている際に、不可抗力で海に出てしまっているケースが多いと聞いています。 例えば、漁の最中に網が「根がかり」して、海底の岩などに引っかかってちぎれてしまったり、破損してそのまま流出してしまったり。釣りのルアーが引っかかり外れないという感覚に近いですね。 しかも漁網はサイズが大きいので、海に浮くというより海の底に沈んでしまうことが多いんです。だから目立たず、回収が難しくて問題が静かに進行していくのです。福岡市の海岸でも、砂に埋もれてしまってまったく引き抜けないロープや網があります。 ――ビニール袋などの小さなごみは海岸で見かけることがありますが、漁網ってあまり見かけないのでイメージしづらいかもしれませんね。 しばたみなみさん:そうですよね。でも実際には、とても深刻な環境問題になっています。漁網がプール一杯分ほど落ちているような状況もあるんです。 例えば長崎県・対馬の海岸では、砂浜一帯が緑色の漁網やロープで埋め尽くされていました。足元に落ちているというより、絡まり合って大きくなりすぎていて、「ちょっと拾って片づけよう」なんていうレベルではありませんでしたね。 さらに厄介なのは、放置された漁網が船のスクリューに巻き付いて事故につながることもあるという点です。最悪の場合、船が壊れて沈んでしまうリスクもあるので、漁に出る前に漁師さんたちが自ら網を取り除いていることもあると聞いています。 ――それだけ大量に海へ出ている漁網を、漁師さんたちはどうやって回収しているんでしょうか? しばたみなみさん:私自身は現場に同行したことはないのですが、話を聞く限りでは、漁に出る前にスクリューに絡まないよう、浅瀬に潜って網の状態を確認したり、引っ掛けて持ち上げたりするそうです。もし、漁網の破片が自分たちの網に入り込んでしまうと、魚に傷がつき商品にならなかったり、網が使えなくなってしまったりすることもあるので、チェックは大変だと思います。 しかも、そういった作業はほとんどが「自費」で行われているんです。自分たちの安全のためとはいえ、当然のように対応している事実は、もっと知られるべきだと思います。これは本当に大きな負担ですよね。 漁網がストラップに変身。見えない海の課題を作品で可視化 ――しばたさんは、そうした海の見えない問題を、日常に寄り添う形で伝えるために、漁網を使ったプロダクト制作にも取り組んでいますよね? しばたみなみさん:はい。漁網を使ったストラップなどのアイテムを作っているのですが、アートというより「使って楽しんでもらえること」を前提に制作しています。 デザインとしての可愛さや使いやすさから手に取ってもらい、「これ、漁網からできているんだ」と気づいてもらえたら嬉しいなと思っていて。そこから、海にある見えにくい問題や背景にも関心を持ってもらえたらと思い、漁網にフィーチャーして制作しています。 出典:ニチモウ株式会社 ――プロダクトの素材となる漁網は、実際に海から回収されたものなのでしょうか? しばたみなみさん:いえ、プロダクトに使用しているのは、漁網メーカーのニチモウ株式会社から提供していただいている、製造過程で出た端材です。日常的に身に着けるものなので、衛生面などの理由から漂着物を使うのは難しいからです。 ニチモウ株式会社では、漁網のリサイクル技術にも取り組まれていて、端材も無駄にされているわけではありませんが、取り組みの一環として私のもとに素材を提供してくださっています。...
【インタビュー記事】漁網の作品が問いかける、見えにくい海の環境問題
「海のごみ」と聞いて、まず思い浮かべるのは、ペットボトルやレジ袋、ストローなどのプラスチックごみではないでしょうか。しかし、海に漂うごみはそれだけではありません。 海洋ごみの中で特に問題とされているのが「漁網(魚を捕まえる網)」です。 WWF ジャパンの調査(※)では、太平洋ゴミベルト(GPGP)に存在する直径5cm以上の漂流プラスチックの質量のうち、約46%が漁網と報告されています。さらに、回収された75〜86%が漁具であることも明らかになっています。 今回は、廃棄された漁網を用いたアート制作を行う『ACTA+』アーティスト・しばたみなみさんに、漁網が抱える課題や見えにくい海の環境問題の現実、私たちが環境のためにできることについてのお話を伺いました。 ※参考:『日本における ゴーストギア対策の 現在地』|WWF ジャパン 拾えないごみ「漁網」はなぜ海に?回収現場の現実 ――そもそも、なぜ海に漁網があるのでしょうか? しばたみなみさん:漁をしている際に、不可抗力で海に出てしまっているケースが多いと聞いています。 例えば、漁の最中に網が「根がかり」して、海底の岩などに引っかかってちぎれてしまったり、破損してそのまま流出してしまったり。釣りのルアーが引っかかり外れないという感覚に近いですね。 しかも漁網はサイズが大きいので、海に浮くというより海の底に沈んでしまうことが多いんです。だから目立たず、回収が難しくて問題が静かに進行していくのです。福岡市の海岸でも、砂に埋もれてしまってまったく引き抜けないロープや網があります。 ――ビニール袋などの小さなごみは海岸で見かけることがありますが、漁網ってあまり見かけないのでイメージしづらいかもしれませんね。 しばたみなみさん:そうですよね。でも実際には、とても深刻な環境問題になっています。漁網がプール一杯分ほど落ちているような状況もあるんです。 例えば長崎県・対馬の海岸では、砂浜一帯が緑色の漁網やロープで埋め尽くされていました。足元に落ちているというより、絡まり合って大きくなりすぎていて、「ちょっと拾って片づけよう」なんていうレベルではありませんでしたね。 さらに厄介なのは、放置された漁網が船のスクリューに巻き付いて事故につながることもあるという点です。最悪の場合、船が壊れて沈んでしまうリスクもあるので、漁に出る前に漁師さんたちが自ら網を取り除いていることもあると聞いています。 ――それだけ大量に海へ出ている漁網を、漁師さんたちはどうやって回収しているんでしょうか? しばたみなみさん:私自身は現場に同行したことはないのですが、話を聞く限りでは、漁に出る前にスクリューに絡まないよう、浅瀬に潜って網の状態を確認したり、引っ掛けて持ち上げたりするそうです。もし、漁網の破片が自分たちの網に入り込んでしまうと、魚に傷がつき商品にならなかったり、網が使えなくなってしまったりすることもあるので、チェックは大変だと思います。 しかも、そういった作業はほとんどが「自費」で行われているんです。自分たちの安全のためとはいえ、当然のように対応している事実は、もっと知られるべきだと思います。これは本当に大きな負担ですよね。 漁網がストラップに変身。見えない海の課題を作品で可視化 ――しばたさんは、そうした海の見えない問題を、日常に寄り添う形で伝えるために、漁網を使ったプロダクト制作にも取り組んでいますよね? しばたみなみさん:はい。漁網を使ったストラップなどのアイテムを作っているのですが、アートというより「使って楽しんでもらえること」を前提に制作しています。 デザインとしての可愛さや使いやすさから手に取ってもらい、「これ、漁網からできているんだ」と気づいてもらえたら嬉しいなと思っていて。そこから、海にある見えにくい問題や背景にも関心を持ってもらえたらと思い、漁網にフィーチャーして制作しています。 出典:ニチモウ株式会社 ――プロダクトの素材となる漁網は、実際に海から回収されたものなのでしょうか? しばたみなみさん:いえ、プロダクトに使用しているのは、漁網メーカーのニチモウ株式会社から提供していただいている、製造過程で出た端材です。日常的に身に着けるものなので、衛生面などの理由から漂着物を使うのは難しいからです。 ニチモウ株式会社では、漁網のリサイクル技術にも取り組まれていて、端材も無駄にされているわけではありませんが、取り組みの一環として私のもとに素材を提供してくださっています。...