ACTA+ JOURNEY

【大阪・グランフロント大阪】『ACTA+』と無印良品が挑んだ、暮らしと環境をつなぐアート展の10日間

【大阪・グランフロント大阪】『ACTA+』と無印良品が挑んだ、暮らしと環境をつなぐアート展の10日間

無印良品とのコラボ企画は『ACTA+』の熱意への共感から生まれた 2025年7月19日(土)から27日(日)まで、無印良品グランフロント大阪店にて、『ACTA+(アクタプラス)』と無印良品によるコラボレーション企画展「暮らしの中の、ちいさな創造展 -『捨てる』が変わる10日間。-」が開催されました。 今回の企画は、アーティストによる作品の展示と販売、そして古着を活用したタペストリーを制作するワークショップの3つの要素で構成されました。 【『暮らしの中の、ちいさな創造展-「捨てる」が変わる10日間。-』開催概要】 ・会場:無印良品グランフロント大阪 4F Open MUJI・開催期間:2025年7月19日(土) ~ 27日(日) 【「サステナブルで自宅を彩る」廃棄物アート作品販売会 開催概要】 ・会場:無印良品グランフロント大阪 4F モデルルーム内・日程:①7月19日(土)~21日(月・祝)②7月25日(金)~27日(日) 【タペストリーワークショップ開催概要】・会場:無印良品グランフロント大阪 4F Open MUJI・開催期間:7月26日(土)・持参物:着なくなった洋服1着(表面に装飾品のない素材)・講師:aya kurata ※ビギナークラス・ミドルクラスの2部構成で実施 「もったいない」をアートに変える。地場産業の廃材が生み出す新しい価値 今回の企画展「暮らしの中の、ちいさな創造展 -『捨てる』が変わる10日間。-」では、無印良品から提供された商品の梱包材や緩衝材、大阪の地場産業から提供された廃材を素材とした、アート作品の展示と販売が行われました。 素材の提供には、地域の廃棄物活用に取り組む「STOQue(ストック)」を含む、大阪の企業5社が協力。普段は見過ごされがちな廃材を、5名のアーティストが再編集し、アートへと昇華させました。   企画展に参加したアーティスト(展示) ミルクぱくこ 寺口隼人 吉田琉平 chikako...

【大阪・グランフロント大阪】『ACTA+』と無印良品が挑んだ、暮らしと環境をつなぐアート展の10日間

無印良品とのコラボ企画は『ACTA+』の熱意への共感から生まれた 2025年7月19日(土)から27日(日)まで、無印良品グランフロント大阪店にて、『ACTA+(アクタプラス)』と無印良品によるコラボレーション企画展「暮らしの中の、ちいさな創造展 -『捨てる』が変わる10日間。-」が開催されました。 今回の企画は、アーティストによる作品の展示と販売、そして古着を活用したタペストリーを制作するワークショップの3つの要素で構成されました。 【『暮らしの中の、ちいさな創造展-「捨てる」が変わる10日間。-』開催概要】 ・会場:無印良品グランフロント大阪 4F Open MUJI・開催期間:2025年7月19日(土) ~ 27日(日) 【「サステナブルで自宅を彩る」廃棄物アート作品販売会 開催概要】 ・会場:無印良品グランフロント大阪 4F モデルルーム内・日程:①7月19日(土)~21日(月・祝)②7月25日(金)~27日(日) 【タペストリーワークショップ開催概要】・会場:無印良品グランフロント大阪 4F Open MUJI・開催期間:7月26日(土)・持参物:着なくなった洋服1着(表面に装飾品のない素材)・講師:aya kurata ※ビギナークラス・ミドルクラスの2部構成で実施 「もったいない」をアートに変える。地場産業の廃材が生み出す新しい価値 今回の企画展「暮らしの中の、ちいさな創造展 -『捨てる』が変わる10日間。-」では、無印良品から提供された商品の梱包材や緩衝材、大阪の地場産業から提供された廃材を素材とした、アート作品の展示と販売が行われました。 素材の提供には、地域の廃棄物活用に取り組む「STOQue(ストック)」を含む、大阪の企業5社が協力。普段は見過ごされがちな廃材を、5名のアーティストが再編集し、アートへと昇華させました。   企画展に参加したアーティスト(展示) ミルクぱくこ 寺口隼人 吉田琉平 chikako...

素材の“おもしろさ”を見出して。感覚と整理で価値を生む、西村卓さんの創作術

素材の“おもしろさ”を見出して。感覚と整理で価値を生む、西村卓さんの創作術

木彫からスタートし、透明樹脂や廃棄物などの異素材を組み合わせて、独自の表現を追求するアーティスト・西村卓さん。現在は『ACTA+』のアーティストとしても活動し、空間を彩る立体作品から日用品のような小物作品まで、幅広いアート作品を生み出しています。 「拾ったもの」や「もらったもの」といった偶然の素材との出会いをきっかけに、日常の物にひそむ“おもしろさ”をすくい上げる西村さんの感性は、企業と協働するワークショップにも活かされています。 今回は、西村さんが素材と出会い、表現を深めていった過程や制作の裏側にあるストーリーを伺いました。 木彫から廃棄物アートへ。公募をきっかけに『ACTA+』とつながる ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 西村卓さん: 私は大学で彫刻を専攻し、その中でも木彫の研究室に所属していました。大学卒業後は大学教授の助手を務めながら、木を素材とした木彫の制作を続けていました。 ――その後、木材以外にも廃棄物を素材とした作品を手がけるようになりますが、『ACTA+』との出会いについて教えてください。 西村卓さん: 2023年に『ACTA+』の公募展に応募したことが、最初のきっかけです。たまたまInstagramで『ACTA+』の公募情報を見かけて、「今の自分の制作スタイルにも合いそうだな」と思い、応募したのです。当時ちょうど、廃棄物を使ったアート作品が少しずつ注目されてきていた時期でもありました。 結果的にグランプリは取れませんでしたが、最終審査まで進むことができました。それをきっかけに『ACTA+』とのつながりが生まれ、現在は『ACTA+』のアーティストとして活動しています。   美大進学は偶然?「思いつきの進学」から広がったアートの道 ――西村さんがアートの道に進んだきっかけを教えてください。 西村卓さん: 実は、子どもの頃から美術をやりたいという強い思いがあったわけではないんです。高校で進路を考えたとき「受験勉強をあまりせずに進学できそうだな」という理由で、美術系の専門学校を志望しました。 ただ、その話を親にしたときに「せっかくなら四年制大学にしてほしい」と言われて、美大を選ぶことにしたのです。私はそこまで深く考えていなかったんですが、親が「この子は美術の道に進みたいのだ」と思ったようで、私は「思いつきだった」とも言えなくなってしまって(笑)そのまま美大を目指し、一浪して入学しました。 ――現在は樹脂など木材以外の素材も使って創作されていますよね。現在の創作に影響を受けた経験があれば教えてください。 西村卓さん: 大学卒業後に教授の助手をしていたんですが、その時期に学生たちが透明樹脂を使って作品を作っているのを見て、「こうやって扱うのか」と初めて知ったんです。学生の制作をサポートしながら横で学んでいくような感覚でしたね。 そこから自分でも樹脂を試すようになって、作品の表現が広がっていきました。   「これ、おもしろいな」からはじまる創作。ワークショップも“ひとつの作品”として ――作品にはどのようなテーマやメッセージが込められていますか? 西村卓さん: 作品ごとに強いメッセージを込めているわけではなくて「これ、おもしろいな」という感覚を大事にしています。最初からコンセプトをしっかり立てて取り組むというよりは、素材に触れ、湧いてきたインスピレーションで手を動かすことが多いですね。 小物作品などはテーマやコンセプトは決めすぎず、アートと日用品の中間のような感覚で作っています。そういった作品にあまり強い意味や想いを込めすぎると、かえって重くなってしまう気がするので。 一方で、大きな立体作品や『ACTA+』で展示したような空間性のある作品については、ある程度コンセプトやテーマを考えて制作します。作品の規模や用途によって、制作のスタンスを少しずつ変えている感じですね。 ――作品の素材に「廃棄物」を使うようになったのはなぜでしょうか? 西村卓さん:...

素材の“おもしろさ”を見出して。感覚と整理で価値を生む、西村卓さんの創作術

木彫からスタートし、透明樹脂や廃棄物などの異素材を組み合わせて、独自の表現を追求するアーティスト・西村卓さん。現在は『ACTA+』のアーティストとしても活動し、空間を彩る立体作品から日用品のような小物作品まで、幅広いアート作品を生み出しています。 「拾ったもの」や「もらったもの」といった偶然の素材との出会いをきっかけに、日常の物にひそむ“おもしろさ”をすくい上げる西村さんの感性は、企業と協働するワークショップにも活かされています。 今回は、西村さんが素材と出会い、表現を深めていった過程や制作の裏側にあるストーリーを伺いました。 木彫から廃棄物アートへ。公募をきっかけに『ACTA+』とつながる ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 西村卓さん: 私は大学で彫刻を専攻し、その中でも木彫の研究室に所属していました。大学卒業後は大学教授の助手を務めながら、木を素材とした木彫の制作を続けていました。 ――その後、木材以外にも廃棄物を素材とした作品を手がけるようになりますが、『ACTA+』との出会いについて教えてください。 西村卓さん: 2023年に『ACTA+』の公募展に応募したことが、最初のきっかけです。たまたまInstagramで『ACTA+』の公募情報を見かけて、「今の自分の制作スタイルにも合いそうだな」と思い、応募したのです。当時ちょうど、廃棄物を使ったアート作品が少しずつ注目されてきていた時期でもありました。 結果的にグランプリは取れませんでしたが、最終審査まで進むことができました。それをきっかけに『ACTA+』とのつながりが生まれ、現在は『ACTA+』のアーティストとして活動しています。   美大進学は偶然?「思いつきの進学」から広がったアートの道 ――西村さんがアートの道に進んだきっかけを教えてください。 西村卓さん: 実は、子どもの頃から美術をやりたいという強い思いがあったわけではないんです。高校で進路を考えたとき「受験勉強をあまりせずに進学できそうだな」という理由で、美術系の専門学校を志望しました。 ただ、その話を親にしたときに「せっかくなら四年制大学にしてほしい」と言われて、美大を選ぶことにしたのです。私はそこまで深く考えていなかったんですが、親が「この子は美術の道に進みたいのだ」と思ったようで、私は「思いつきだった」とも言えなくなってしまって(笑)そのまま美大を目指し、一浪して入学しました。 ――現在は樹脂など木材以外の素材も使って創作されていますよね。現在の創作に影響を受けた経験があれば教えてください。 西村卓さん: 大学卒業後に教授の助手をしていたんですが、その時期に学生たちが透明樹脂を使って作品を作っているのを見て、「こうやって扱うのか」と初めて知ったんです。学生の制作をサポートしながら横で学んでいくような感覚でしたね。 そこから自分でも樹脂を試すようになって、作品の表現が広がっていきました。   「これ、おもしろいな」からはじまる創作。ワークショップも“ひとつの作品”として ――作品にはどのようなテーマやメッセージが込められていますか? 西村卓さん: 作品ごとに強いメッセージを込めているわけではなくて「これ、おもしろいな」という感覚を大事にしています。最初からコンセプトをしっかり立てて取り組むというよりは、素材に触れ、湧いてきたインスピレーションで手を動かすことが多いですね。 小物作品などはテーマやコンセプトは決めすぎず、アートと日用品の中間のような感覚で作っています。そういった作品にあまり強い意味や想いを込めすぎると、かえって重くなってしまう気がするので。 一方で、大きな立体作品や『ACTA+』で展示したような空間性のある作品については、ある程度コンセプトやテーマを考えて制作します。作品の規模や用途によって、制作のスタンスを少しずつ変えている感じですね。 ――作品の素材に「廃棄物」を使うようになったのはなぜでしょうか? 西村卓さん:...

【インタビュー記事】紐の端から命を吹き込む。ファイバーアーティスト・aya kurataさんのストーリー

【インタビュー記事】紐の端から命を吹き込む。ファイバーアーティスト・aya kurataさんの...

ファイバーアーティスト・aya kurataさんは、ネイリストとして約10年間活動したのち、子育てによる休職をきっかけに植物と向き合う中で、「マクラメ」という表現に出会いました。現在は『ACTA+』のアーティストのひとりとしても活動しています。 制作で生まれる紐の“端材”や、風化してなお咲こうとする植物の姿など、日常や自然の中にある「終わり」と「始まり」のエネルギーに心を寄せ、「結び」を通してその世界を作品に表現しています。 捨てられるはずだった“端材”に新たな価値を吹き込む作品には、技法を超えた想いが込められています。 本記事では、aya kurataさんがマクラメに出会い、アーティストとして表現を深めていくまでのストーリーを伺いました。 子育てが転機に。植物が導いたマクラメとaya kurataさんの出会い ――まずは、aya kurataさんのこれまでの歩みを教えてください。 aya kurataさん: 私は現在、ファイバーアーティストとして活動しています。もともとはアート系のデザインを手がけるネイリストとして、約10年間活動していました。 子どもが生まれたことをきっかけに、ネイルの仕事をお休みし、その頃からもともと好きだった植物を自宅でたくさん育てるようになったのです。子どもに触れられないように、植物を壁や天井から吊るしたいと思ったときに出会ったのが、マクラメという技法でした。 当時は日本語でマクラメの情報がほとんどなかったので、海外の資料を頼りに独学で学び始めました。技術を身につけること自体が好きなので、自然とマクラメの技術を身につけました。 やがて、「自分でもマクラメを人に教えてみたい、魅力を広めてみたい」と思うようになり、マクラメ講師としての活動や、作品の出品にも携わるようになりました。ありがたいことに、NHKの番組などに出演させていただいたこともあります。 ――『ACTA+』との出会いを教えてください。 aya kurataさん: 最初のきっかけは、Instagramだったと思います。実際にやりとりをしたのは、1年か2年ほど前のことです。『ACTA+』のアワード情報自体は以前から目にしていましたが、お話しするのはそのときが初めてでした。 その中で、「義務じゃなくて憧れにしたい」という『ACTA+』のコンセプトに、大変共鳴したのです。 ちょうどその頃、端材を取り入れながら活動する中で、「自分はどうあるべきか」とアーティストとしての表現や立ち位置などを深く考え始めていた時期でもありました。 そんなときに出会った『ACTA+』の考え方が「これからどのような方向に進みたいのか」を見つめ直すきっかけになり、参加を決めました。   役目を終えた紐が、新たな作品を紡ぐ。“結び”に込める創作への想い ――マクラメの創作活動の中で、アップサイクル(再利用)をしようと思ったきっかけを教えてください。 aya kurataさん: マクラメの創作活動を続ける中で、どうしても出てきてしまう「切れ端」の存在に、ずっとモヤモヤを感じていたんです。マクラメは、ある程度の長さがないと結びにくく、短くなると「もう使えない」とされるのが常識だったんですね。 でも、そのたびに「捨てるために生んでいる」ような気がして、強い罪悪感がありました。...

【インタビュー記事】紐の端から命を吹き込む。ファイバーアーティスト・aya kurataさんの...

ファイバーアーティスト・aya kurataさんは、ネイリストとして約10年間活動したのち、子育てによる休職をきっかけに植物と向き合う中で、「マクラメ」という表現に出会いました。現在は『ACTA+』のアーティストのひとりとしても活動しています。 制作で生まれる紐の“端材”や、風化してなお咲こうとする植物の姿など、日常や自然の中にある「終わり」と「始まり」のエネルギーに心を寄せ、「結び」を通してその世界を作品に表現しています。 捨てられるはずだった“端材”に新たな価値を吹き込む作品には、技法を超えた想いが込められています。 本記事では、aya kurataさんがマクラメに出会い、アーティストとして表現を深めていくまでのストーリーを伺いました。 子育てが転機に。植物が導いたマクラメとaya kurataさんの出会い ――まずは、aya kurataさんのこれまでの歩みを教えてください。 aya kurataさん: 私は現在、ファイバーアーティストとして活動しています。もともとはアート系のデザインを手がけるネイリストとして、約10年間活動していました。 子どもが生まれたことをきっかけに、ネイルの仕事をお休みし、その頃からもともと好きだった植物を自宅でたくさん育てるようになったのです。子どもに触れられないように、植物を壁や天井から吊るしたいと思ったときに出会ったのが、マクラメという技法でした。 当時は日本語でマクラメの情報がほとんどなかったので、海外の資料を頼りに独学で学び始めました。技術を身につけること自体が好きなので、自然とマクラメの技術を身につけました。 やがて、「自分でもマクラメを人に教えてみたい、魅力を広めてみたい」と思うようになり、マクラメ講師としての活動や、作品の出品にも携わるようになりました。ありがたいことに、NHKの番組などに出演させていただいたこともあります。 ――『ACTA+』との出会いを教えてください。 aya kurataさん: 最初のきっかけは、Instagramだったと思います。実際にやりとりをしたのは、1年か2年ほど前のことです。『ACTA+』のアワード情報自体は以前から目にしていましたが、お話しするのはそのときが初めてでした。 その中で、「義務じゃなくて憧れにしたい」という『ACTA+』のコンセプトに、大変共鳴したのです。 ちょうどその頃、端材を取り入れながら活動する中で、「自分はどうあるべきか」とアーティストとしての表現や立ち位置などを深く考え始めていた時期でもありました。 そんなときに出会った『ACTA+』の考え方が「これからどのような方向に進みたいのか」を見つめ直すきっかけになり、参加を決めました。   役目を終えた紐が、新たな作品を紡ぐ。“結び”に込める創作への想い ――マクラメの創作活動の中で、アップサイクル(再利用)をしようと思ったきっかけを教えてください。 aya kurataさん: マクラメの創作活動を続ける中で、どうしても出てきてしまう「切れ端」の存在に、ずっとモヤモヤを感じていたんです。マクラメは、ある程度の長さがないと結びにくく、短くなると「もう使えない」とされるのが常識だったんですね。 でも、そのたびに「捨てるために生んでいる」ような気がして、強い罪悪感がありました。...

廃棄物アートを通じて問いかけたいこと──本当に「芥」は役目を終えたのか?

廃棄物アートを通じて問いかけたいこと──本当に「芥」は役目を終えたのか?

「廃棄物」から思い浮かべるもの。山のように積み上げられたゴミ袋、海に漂流するプラスチック、腐敗した生ゴミ、役目を終えた家電製品。多くの人にとって、「廃棄物」とはネガティブなイメージと結びついているかもしれません。けれど、本当にそれらは「ただのゴミ」なのでしょうか。ACTA+では、それらを単なる「廃棄物」という言葉ではなく、「芥(アクタ)」と呼んでいます。芥とは、辞書には「ゴミ」や「くず」として表記されていますが、「人から見放されたもの」や「役目を終えたもの」を表す言葉としても使われます。社会から見捨てられ、一見、役割を終えたように見える芥。しかし、一つ一つの素材を掘り下げると、「廃棄物」という言葉では語りきれない「芥」としてのストーリーが見えてきます。 ACTA+が定義する「芥(アクタ)」とは ACTA+では、「役割を終えて社会のシステムからはみ出してしまったものたち」を「芥」と定義しています。何かを生み出すためには、どうしても不要なものが生まれます。例えば、エネルギーを生み出すために採掘された石炭の燃えかす。あるいは衣服を作る過程で生まれた生地耳(きじみみ)と呼ばれる裁断くず。こうしたものは、経済や暮らしを支える生産活動の中で生まれたものですが、役割を果たした瞬間に不要とされ、廃棄物として扱われます。 しかし、石炭のかすであればエネルギー資源、生地耳であれば衣服というように、ものを生産する過程で結果として不要になっただけで、本来は人々の暮らしを支えるために使われるはずだったもの。つまり、「人の手によって生産されたものの、その代償として生まれたもの」だといえます。私たちは、このようなものを「芥」と捉えています。 芥にはストーリーがあります。芥の生まれた場所とルーツをたどることで、ただの「廃棄物」では見えなかったストーリーが鮮明になります。私たちは「芥」に秘められた物語を発掘し、人々に伝えていきたいと考えています。芥がどこで生まれ、誰の手を経て生み出されたのか、ストーリーを知ることで新たな価値が見えてくるはずです。 ACTA+が見つけた「芥(アクタ)」のストーリー 大牟田・三池炭鉱の石炭かす 石炭は、日本の近代化や戦後の高度経済成長を支えた重要なエネルギー資源です。一方、炭鉱で排出される石炭かすやすすは大気汚染や健康被害などの要因になり得るため、負の遺産として捉えられがちです。 私たちは、福岡県大牟田市で珍しい釜があることを知りました。それはグラウンドにラインを引く白い粉を作る釜で、300年ほど前から存在する歴史あるもの。日本には片手で数えるほどしか存在しないそうです。この釜に石灰石と炭を入れて高温で焼くと、皆さんがよく知るあの白い粉ができあがります。 この釜には、年に1回、火入れをします。最初の火入れはテスト運転なのですが、その時にできるものは品質が安定せず、製品としては使えません。そのためそのまま産業廃棄物として処分されます。私たちはこの石灰粉の背景に目を向けました。 300年以上の歴史を持つ釜、手作業で行われる火入れ、そして地元の人々の手によって守られてきた伝統技術。そうした要素が凝縮されたこの石灰粉には、他にはない時間と物語が宿っています。ACTA+では、この石灰粉をアーティストとともにアート作品へと昇華させる試みを始めていきたいと考えています。 縫製工場から出る生地耳 もう一つ、私たちが注目しているのが今治タオルの生産過程で出る「生地耳」です。生地耳とは、衣料の縫製を行う際の裁断工程で、デザインやサイズの都合で使われずに切り落とされる切れ端部分のこと。たった数センチの生地耳でも、数が増えるとトン単位の廃棄物になります。現代のファッション・アパレル産業では、大量生産が一般的です。衣料品を生産するたびに生み出される生地耳を芥として活用し、アート作品や雑貨作品に生まれ変わらせる取り組みを行なっています。 素材のルーツをたどれば、土地、文化、技術、そして人の営みが見えてくる。「芥」は、そのすべてを内包した証であると私たちは考えています。 なぜACTA+は「廃棄物」をアートにするのか 廃棄物は、消費社会が生み出すいわば影のような存在です。私たちは「アート」という手段で廃棄物に光を当て、社会の構造や生産と消費のあり方を問いたいと考えています。 「なぜ廃棄物は生まれたのか? どうしていらなくなってしまったのか?」 私たちは、この問いを投げかける手段としてアートを選択しました。ただ廃棄物を再利用するのではなく、「芥」として生み出された背景やストーリーを可視化し、観る人の内面に深く訴えかけるには、アートが最適だと感じたためです。 アートを通じて、不要なものとして見過ごされてきた廃棄物に光を当てて、生産と消費のあり方を問うことがACTA+の役割です。消費を重ねる現代において、便利さや効率性が重視される一方で、見過ごされているものがあまりにも多く存在します。 アートという形で芥を再提示することで、鑑賞者の心に静かに、しかし確かに問いを届けたい。廃棄物の背後にある歴史、手間、価値に思いを馳せるきっかけとなることを願っています。 終わりに:捨てられるものに、もう一度まなざしを 私たちは日々の生活を送る中で、膨大な量の情報やものを「見なかったことにして」暮らしています。消費の波に乗り、新しいものが次々と生まれる一方、役目を終えた芥の存在は視界の外へと追いやられがちです。 ACTA+が届けたいのは、その存在を見過ごされがちな芥の価値を問い直す、「再発見と再定義」の体験です。ACTA+の作品や取り組みが、「これは何からできているのか」「なぜここにあるのか」と考えてもらえるきっかけになれば幸いです。

廃棄物アートを通じて問いかけたいこと──本当に「芥」は役目を終えたのか?

「廃棄物」から思い浮かべるもの。山のように積み上げられたゴミ袋、海に漂流するプラスチック、腐敗した生ゴミ、役目を終えた家電製品。多くの人にとって、「廃棄物」とはネガティブなイメージと結びついているかもしれません。けれど、本当にそれらは「ただのゴミ」なのでしょうか。ACTA+では、それらを単なる「廃棄物」という言葉ではなく、「芥(アクタ)」と呼んでいます。芥とは、辞書には「ゴミ」や「くず」として表記されていますが、「人から見放されたもの」や「役目を終えたもの」を表す言葉としても使われます。社会から見捨てられ、一見、役割を終えたように見える芥。しかし、一つ一つの素材を掘り下げると、「廃棄物」という言葉では語りきれない「芥」としてのストーリーが見えてきます。 ACTA+が定義する「芥(アクタ)」とは ACTA+では、「役割を終えて社会のシステムからはみ出してしまったものたち」を「芥」と定義しています。何かを生み出すためには、どうしても不要なものが生まれます。例えば、エネルギーを生み出すために採掘された石炭の燃えかす。あるいは衣服を作る過程で生まれた生地耳(きじみみ)と呼ばれる裁断くず。こうしたものは、経済や暮らしを支える生産活動の中で生まれたものですが、役割を果たした瞬間に不要とされ、廃棄物として扱われます。 しかし、石炭のかすであればエネルギー資源、生地耳であれば衣服というように、ものを生産する過程で結果として不要になっただけで、本来は人々の暮らしを支えるために使われるはずだったもの。つまり、「人の手によって生産されたものの、その代償として生まれたもの」だといえます。私たちは、このようなものを「芥」と捉えています。 芥にはストーリーがあります。芥の生まれた場所とルーツをたどることで、ただの「廃棄物」では見えなかったストーリーが鮮明になります。私たちは「芥」に秘められた物語を発掘し、人々に伝えていきたいと考えています。芥がどこで生まれ、誰の手を経て生み出されたのか、ストーリーを知ることで新たな価値が見えてくるはずです。 ACTA+が見つけた「芥(アクタ)」のストーリー 大牟田・三池炭鉱の石炭かす 石炭は、日本の近代化や戦後の高度経済成長を支えた重要なエネルギー資源です。一方、炭鉱で排出される石炭かすやすすは大気汚染や健康被害などの要因になり得るため、負の遺産として捉えられがちです。 私たちは、福岡県大牟田市で珍しい釜があることを知りました。それはグラウンドにラインを引く白い粉を作る釜で、300年ほど前から存在する歴史あるもの。日本には片手で数えるほどしか存在しないそうです。この釜に石灰石と炭を入れて高温で焼くと、皆さんがよく知るあの白い粉ができあがります。 この釜には、年に1回、火入れをします。最初の火入れはテスト運転なのですが、その時にできるものは品質が安定せず、製品としては使えません。そのためそのまま産業廃棄物として処分されます。私たちはこの石灰粉の背景に目を向けました。 300年以上の歴史を持つ釜、手作業で行われる火入れ、そして地元の人々の手によって守られてきた伝統技術。そうした要素が凝縮されたこの石灰粉には、他にはない時間と物語が宿っています。ACTA+では、この石灰粉をアーティストとともにアート作品へと昇華させる試みを始めていきたいと考えています。 縫製工場から出る生地耳 もう一つ、私たちが注目しているのが今治タオルの生産過程で出る「生地耳」です。生地耳とは、衣料の縫製を行う際の裁断工程で、デザインやサイズの都合で使われずに切り落とされる切れ端部分のこと。たった数センチの生地耳でも、数が増えるとトン単位の廃棄物になります。現代のファッション・アパレル産業では、大量生産が一般的です。衣料品を生産するたびに生み出される生地耳を芥として活用し、アート作品や雑貨作品に生まれ変わらせる取り組みを行なっています。 素材のルーツをたどれば、土地、文化、技術、そして人の営みが見えてくる。「芥」は、そのすべてを内包した証であると私たちは考えています。 なぜACTA+は「廃棄物」をアートにするのか 廃棄物は、消費社会が生み出すいわば影のような存在です。私たちは「アート」という手段で廃棄物に光を当て、社会の構造や生産と消費のあり方を問いたいと考えています。 「なぜ廃棄物は生まれたのか? どうしていらなくなってしまったのか?」 私たちは、この問いを投げかける手段としてアートを選択しました。ただ廃棄物を再利用するのではなく、「芥」として生み出された背景やストーリーを可視化し、観る人の内面に深く訴えかけるには、アートが最適だと感じたためです。 アートを通じて、不要なものとして見過ごされてきた廃棄物に光を当てて、生産と消費のあり方を問うことがACTA+の役割です。消費を重ねる現代において、便利さや効率性が重視される一方で、見過ごされているものがあまりにも多く存在します。 アートという形で芥を再提示することで、鑑賞者の心に静かに、しかし確かに問いを届けたい。廃棄物の背後にある歴史、手間、価値に思いを馳せるきっかけとなることを願っています。 終わりに:捨てられるものに、もう一度まなざしを 私たちは日々の生活を送る中で、膨大な量の情報やものを「見なかったことにして」暮らしています。消費の波に乗り、新しいものが次々と生まれる一方、役目を終えた芥の存在は視界の外へと追いやられがちです。 ACTA+が届けたいのは、その存在を見過ごされがちな芥の価値を問い直す、「再発見と再定義」の体験です。ACTA+の作品や取り組みが、「これは何からできているのか」「なぜここにあるのか」と考えてもらえるきっかけになれば幸いです。

【東京・玉川高島屋】『ACTA+』ポップアップストアを開催。「飾る・使う」アートに出会える7日間

【東京・玉川高島屋】『ACTA+』ポップアップストアを開催。「飾る・使う」アートに出会える7日間

“飾る”と“使う”アートが集結。『ACTA+』ポップアップストアを東京・玉川高島屋で開催 2025年4月23日(水)から4月29日(火・祝)、東京・世田谷区の玉川高島屋本館1階イベントスペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』によるポップアップストアが開催されました。2024年10月に大阪高島屋で実施された初のポップアップストアが好評を得たことを受け、今回は東京・玉川での開催が実現。『ACTA+』としては2度目となる百貨店での展開となりました。 『ACTA+』のアーティストたちの手によって、手放された木片や布、陶片などの素材に感性と技術が重ねられ、それぞれが一点もののアート作品として展示・販売されました。 今回のポップアップのテーマは「“素材の記憶”を纏うインテリアアート」。『ACTA+』の多彩な作品の中から「飾るアート」と「使うアート」という2つの観点でセレクトされた作品が並びました。 「飾るアート」としては、空間に静かな存在感を与えるウォールアートや、場のアクセントとなる小型のオブジェなどを展示。「使うアート」では、牛乳パックで作られたクラッチバッグや、陶器片や古木を用いた花器など、日常生活に取り入れやすいプロダクトが展開されました。 来場者は、身近な素材がアートに生まれ変わる驚きや、「アートのある暮らし」を自由に想像し、楽しめる空間を体験していました。 【玉川高島屋ポップアップ 開催概要】・会場:玉川高島屋 本館1階 イベントスペース・所在地:東京都世田谷区玉川3-17-1・開催期間:2025年4月23日(水)〜4月29日(火・祝)・営業時間:10:00〜20:00 廃材に命を吹き込む、20名17名の『ACTA+』アーティストと素材の紹介 今回の玉川高島屋ポップアップストアでは、『ACTA+』に参加する多彩な2017名アーティストたちが、それぞれ異なる素材と向き合いながら、1点もののアート作品を制作・展示しました。 アーティストたちが手にしたのは、廃棄や手放されたモノや素材たち。誰かの生活の痕跡や、産業の裏側で静かに役目を終えた素材に、新たな命が吹き込まれます。 アーティストと彼らが用いた素材についてご紹介します。 ▼アーティストと作品に使用した素材の一覧 -aya kurata:廃棄された紐や毛糸 -Ryuhei Yoshida:廃棄された建築用木材 -chikako adachi:廃盤になったマニキュア -Yui Kobayashi:過去の発表作品 -Mitsuyasu Hatakeda:イタリアのフランチャコルタにあるぶどう園で使用されていた針金 -下野友嗣:捨てられた鉄くず -牡蠣殻クラフトOstrica:宮城産の牡蠣殻 -Nobuchika Takeuchi:使い古されたスケートボードの板 -ミルクぱく子:飲み終わった牛乳や豆乳のパック...

【東京・玉川高島屋】『ACTA+』ポップアップストアを開催。「飾る・使う」アートに出会える7日間

“飾る”と“使う”アートが集結。『ACTA+』ポップアップストアを東京・玉川高島屋で開催 2025年4月23日(水)から4月29日(火・祝)、東京・世田谷区の玉川高島屋本館1階イベントスペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』によるポップアップストアが開催されました。2024年10月に大阪高島屋で実施された初のポップアップストアが好評を得たことを受け、今回は東京・玉川での開催が実現。『ACTA+』としては2度目となる百貨店での展開となりました。 『ACTA+』のアーティストたちの手によって、手放された木片や布、陶片などの素材に感性と技術が重ねられ、それぞれが一点もののアート作品として展示・販売されました。 今回のポップアップのテーマは「“素材の記憶”を纏うインテリアアート」。『ACTA+』の多彩な作品の中から「飾るアート」と「使うアート」という2つの観点でセレクトされた作品が並びました。 「飾るアート」としては、空間に静かな存在感を与えるウォールアートや、場のアクセントとなる小型のオブジェなどを展示。「使うアート」では、牛乳パックで作られたクラッチバッグや、陶器片や古木を用いた花器など、日常生活に取り入れやすいプロダクトが展開されました。 来場者は、身近な素材がアートに生まれ変わる驚きや、「アートのある暮らし」を自由に想像し、楽しめる空間を体験していました。 【玉川高島屋ポップアップ 開催概要】・会場:玉川高島屋 本館1階 イベントスペース・所在地:東京都世田谷区玉川3-17-1・開催期間:2025年4月23日(水)〜4月29日(火・祝)・営業時間:10:00〜20:00 廃材に命を吹き込む、20名17名の『ACTA+』アーティストと素材の紹介 今回の玉川高島屋ポップアップストアでは、『ACTA+』に参加する多彩な2017名アーティストたちが、それぞれ異なる素材と向き合いながら、1点もののアート作品を制作・展示しました。 アーティストたちが手にしたのは、廃棄や手放されたモノや素材たち。誰かの生活の痕跡や、産業の裏側で静かに役目を終えた素材に、新たな命が吹き込まれます。 アーティストと彼らが用いた素材についてご紹介します。 ▼アーティストと作品に使用した素材の一覧 -aya kurata:廃棄された紐や毛糸 -Ryuhei Yoshida:廃棄された建築用木材 -chikako adachi:廃盤になったマニキュア -Yui Kobayashi:過去の発表作品 -Mitsuyasu Hatakeda:イタリアのフランチャコルタにあるぶどう園で使用されていた針金 -下野友嗣:捨てられた鉄くず -牡蠣殻クラフトOstrica:宮城産の牡蠣殻 -Nobuchika Takeuchi:使い古されたスケートボードの板 -ミルクぱく子:飲み終わった牛乳や豆乳のパック...

「正論」を「憧れ」に。ACTA+が描く持続可能性の形 ──ACTA+創業の背景と目指す場所

「正論」を「憧れ」に。ACTA+が描く持続可能性の形 ──ACTA+創業の背景と目指す場所

「ACTA+」は廃棄物をアート作品に生まれ変わらせ、持続可能性を「正論」から「憧れ」に変えることを目指すカルチャーブランドです。「やらなければいけない環境配慮」ではなく、「かっこいいから選びたくなる」文化を創るべく、アーティストと共に廃棄物の新たな価値を発信しています。   捨てられるはずの「芥」で持続可能な文化を創造 本社屋でのアート発表の様子 ACTA+は、廃棄物処理会社「株式会社ACTA PLUS」が立ち上げたカルチャーブランドです。ブランド名の「ACTA」は、「廃棄物」の意味で使われていた「芥(あくた)」に由来。「本来ならば捨てられるもの」を起点に、「アート」を通じて「自然と人との文化的共生」を図るべく活動を行っています。 ACTA+が目指しているのは、環境保護や持続可能性といった「やらなければいけないこと」が「憧れの存在」となる文化の創造です。「正論を、憧れに」をコンセプトに掲げ、国内外500名以上のアーティストと連携して廃棄物を素材としたアート作品の販売や企業向け企画など多様な事業を展開しています。そして、社会における「持続可能性」の文化を生み出すと同時に、アーティストへ活躍の場や報酬を還元する仕組みも構築しています。 どこか抽象的である「サステナビリティ」の概念をアート作品として可視化し、「憧れ」として社会に共有することで、自然に「環境に配慮する行動」が選ばれる新たな社会のスタンダードを築きたいと考えています。    環境に良いことを、“やらなきゃ”じゃなく“やりたい”に。正論を憧れに変えると決めた原体験 小学校への出張授業の様子 ACTA+は、廃棄物処理業を家業に持つ吉本龍太郎と橋本季和子が立ち上げました。吉本は「廃棄物が多く発生するほど事業が拡大する」業界の常識を変えるべく、廃棄物の新たな価値創造に挑戦。橋本は韓国での照明・空間デザインの経験を活かし、国内外の宿泊施設やアートコンテストの企画を手がけてきました。 廃棄物処理業界では、その特性から人材不足や産業衰退の危機に直面しています。若い世代が関心を抱き難い業界であることから人が集まりにくく、経験豊富な人材の確保が課題です。このような状況下で廃棄物処理業界が持続的に成長するためには、革新と変革が求められていると感じています。 吉本には、廃棄物処理業に携わる中で印象に残っている出来事があります。家業の一環で、吉本は環境学習として地域の学校へゴミ収集車を派遣し、ゴミの分別や3Rを教えていました。一見、子どもたちはゴミ収集車を間近で見ることに対して喜んでるように見えたものの、実際に話を聞くと「お母さんがゴミの分別をしなさいと言うから」といった反応。保護者の会話に耳を澄ませると、「ルールで決まっているから仕方なく分別しているけど、しなくていいならしない方がいい」との声が聞こえました。 「持続可能性」「環境保全」「サステナブル」などの耳馴染みの良いキーワードが、多くの人たちには「やらなきゃいけない」正論じみたものであることに気づいたのです。吉本は、「かっこいい」「憧れる」といった前向きな言葉で環境を伝える必要性を痛感し、ACTA+の立ち上げに至りました。 国内外のアーティストとコラボし廃棄物をアート作品に ネットワークを持つアーティスト例 ACTA+の事業の核は、「本来捨てられるはずのものからアートが生まれる」過程です。人間の手によって生産されたものの、その代償として生まれ、捨てるしかなくなったもの。こうした廃棄物がアーティストの手で1つの作品として再構築されることで、「環境に良いこと」や「サステナビリティ」といった正論が「心を動かす価値ある体験」、すなわち「憧れ」に変化すると考えています。 現在、ACTA+の事業は大きく分けて2つの柱で構成されています。1つはアート作品やプロダクトを販売する「アートプラットフォーム事業」です。ACTA+では、国内外のアーティストとコラボし、廃棄物を素材としたアート作品や日常使いできるプロダクトを販売しています。廃棄物の風合いを生かした一点もので、売上の一部はアーティストやサステナブルなカルチャー醸成の取り組みに還元されています。 もう1つは「企業向け企画事業」です。企業や自治体と連携し、廃棄物を活用したアート作品の展示や空間プロデュースを行っています。ホテルや大学施設へのアート納品、美術館での展示など多様なプロジェクトを展開しています。 アートプロジェクトやホテルや百貨店とのコラボに挑 ACTA+ ART AWARDでの最終プレゼンの様子(2024) ACTA+はアート作品の販売や企業向け企画以外にも、さまざまな企画に取り組んできました。「ACTA+ ART AWARD」は、2021年から開催している公募型のアートプロジェクトです。社会から不要だとされた「廃棄物」を起点とし、アーティストと一緒に「持続可能な文化」の模索を目的としています。2024年には、107名のアーティストから応募がありました。 TRUNK (HOTEL)yoyogi park(2023)...

「正論」を「憧れ」に。ACTA+が描く持続可能性の形 ──ACTA+創業の背景と目指す場所

「ACTA+」は廃棄物をアート作品に生まれ変わらせ、持続可能性を「正論」から「憧れ」に変えることを目指すカルチャーブランドです。「やらなければいけない環境配慮」ではなく、「かっこいいから選びたくなる」文化を創るべく、アーティストと共に廃棄物の新たな価値を発信しています。   捨てられるはずの「芥」で持続可能な文化を創造 本社屋でのアート発表の様子 ACTA+は、廃棄物処理会社「株式会社ACTA PLUS」が立ち上げたカルチャーブランドです。ブランド名の「ACTA」は、「廃棄物」の意味で使われていた「芥(あくた)」に由来。「本来ならば捨てられるもの」を起点に、「アート」を通じて「自然と人との文化的共生」を図るべく活動を行っています。 ACTA+が目指しているのは、環境保護や持続可能性といった「やらなければいけないこと」が「憧れの存在」となる文化の創造です。「正論を、憧れに」をコンセプトに掲げ、国内外500名以上のアーティストと連携して廃棄物を素材としたアート作品の販売や企業向け企画など多様な事業を展開しています。そして、社会における「持続可能性」の文化を生み出すと同時に、アーティストへ活躍の場や報酬を還元する仕組みも構築しています。 どこか抽象的である「サステナビリティ」の概念をアート作品として可視化し、「憧れ」として社会に共有することで、自然に「環境に配慮する行動」が選ばれる新たな社会のスタンダードを築きたいと考えています。    環境に良いことを、“やらなきゃ”じゃなく“やりたい”に。正論を憧れに変えると決めた原体験 小学校への出張授業の様子 ACTA+は、廃棄物処理業を家業に持つ吉本龍太郎と橋本季和子が立ち上げました。吉本は「廃棄物が多く発生するほど事業が拡大する」業界の常識を変えるべく、廃棄物の新たな価値創造に挑戦。橋本は韓国での照明・空間デザインの経験を活かし、国内外の宿泊施設やアートコンテストの企画を手がけてきました。 廃棄物処理業界では、その特性から人材不足や産業衰退の危機に直面しています。若い世代が関心を抱き難い業界であることから人が集まりにくく、経験豊富な人材の確保が課題です。このような状況下で廃棄物処理業界が持続的に成長するためには、革新と変革が求められていると感じています。 吉本には、廃棄物処理業に携わる中で印象に残っている出来事があります。家業の一環で、吉本は環境学習として地域の学校へゴミ収集車を派遣し、ゴミの分別や3Rを教えていました。一見、子どもたちはゴミ収集車を間近で見ることに対して喜んでるように見えたものの、実際に話を聞くと「お母さんがゴミの分別をしなさいと言うから」といった反応。保護者の会話に耳を澄ませると、「ルールで決まっているから仕方なく分別しているけど、しなくていいならしない方がいい」との声が聞こえました。 「持続可能性」「環境保全」「サステナブル」などの耳馴染みの良いキーワードが、多くの人たちには「やらなきゃいけない」正論じみたものであることに気づいたのです。吉本は、「かっこいい」「憧れる」といった前向きな言葉で環境を伝える必要性を痛感し、ACTA+の立ち上げに至りました。 国内外のアーティストとコラボし廃棄物をアート作品に ネットワークを持つアーティスト例 ACTA+の事業の核は、「本来捨てられるはずのものからアートが生まれる」過程です。人間の手によって生産されたものの、その代償として生まれ、捨てるしかなくなったもの。こうした廃棄物がアーティストの手で1つの作品として再構築されることで、「環境に良いこと」や「サステナビリティ」といった正論が「心を動かす価値ある体験」、すなわち「憧れ」に変化すると考えています。 現在、ACTA+の事業は大きく分けて2つの柱で構成されています。1つはアート作品やプロダクトを販売する「アートプラットフォーム事業」です。ACTA+では、国内外のアーティストとコラボし、廃棄物を素材としたアート作品や日常使いできるプロダクトを販売しています。廃棄物の風合いを生かした一点もので、売上の一部はアーティストやサステナブルなカルチャー醸成の取り組みに還元されています。 もう1つは「企業向け企画事業」です。企業や自治体と連携し、廃棄物を活用したアート作品の展示や空間プロデュースを行っています。ホテルや大学施設へのアート納品、美術館での展示など多様なプロジェクトを展開しています。 アートプロジェクトやホテルや百貨店とのコラボに挑 ACTA+ ART AWARDでの最終プレゼンの様子(2024) ACTA+はアート作品の販売や企業向け企画以外にも、さまざまな企画に取り組んできました。「ACTA+ ART AWARD」は、2021年から開催している公募型のアートプロジェクトです。社会から不要だとされた「廃棄物」を起点とし、アーティストと一緒に「持続可能な文化」の模索を目的としています。2024年には、107名のアーティストから応募がありました。 TRUNK (HOTEL)yoyogi park(2023)...