ACTA+ JOURNEY
廃棄物アートを通じて問いかけたいこと──本当に「芥」は役目を終えたのか?
「廃棄物」から思い浮かべるもの。山のように積み上げられたゴミ袋、海に漂流するプラスチック、腐敗した生ゴミ、役目を終えた家電製品。多くの人にとって、「廃棄物」とはネガティブなイメージと結びついているかもしれません。けれど、本当にそれらは「ただのゴミ」なのでしょうか。ACTA+では、それらを単なる「廃棄物」という言葉ではなく、「芥(アクタ)」と呼んでいます。芥とは、辞書には「ゴミ」や「くず」として表記されていますが、「人から見放されたもの」や「役目を終えたもの」を表す言葉としても使われます。社会から見捨てられ、一見、役割を終えたように見える芥。しかし、一つ一つの素材を掘り下げると、「廃棄物」という言葉では語りきれない「芥」としてのストーリーが見えてきます。 ACTA+が定義する「芥(アクタ)」とは ACTA+では、「役割を終えて社会のシステムからはみ出してしまったものたち」を「芥」と定義しています。何かを生み出すためには、どうしても不要なものが生まれます。例えば、エネルギーを生み出すために採掘された石炭の燃えかす。あるいは衣服を作る過程で生まれた生地耳(きじみみ)と呼ばれる裁断くず。こうしたものは、経済や暮らしを支える生産活動の中で生まれたものですが、役割を果たした瞬間に不要とされ、廃棄物として扱われます。 しかし、石炭のかすであればエネルギー資源、生地耳であれば衣服というように、ものを生産する過程で結果として不要になっただけで、本来は人々の暮らしを支えるために使われるはずだったもの。つまり、「人の手によって生産されたものの、その代償として生まれたもの」だといえます。私たちは、このようなものを「芥」と捉えています。 芥にはストーリーがあります。芥の生まれた場所とルーツをたどることで、ただの「廃棄物」では見えなかったストーリーが鮮明になります。私たちは「芥」に秘められた物語を発掘し、人々に伝えていきたいと考えています。芥がどこで生まれ、誰の手を経て生み出されたのか、ストーリーを知ることで新たな価値が見えてくるはずです。 ACTA+が見つけた「芥(アクタ)」のストーリー 大牟田・三池炭鉱の石炭かす 石炭は、日本の近代化や戦後の高度経済成長を支えた重要なエネルギー資源です。一方、炭鉱で排出される石炭かすやすすは大気汚染や健康被害などの要因になり得るため、負の遺産として捉えられがちです。 私たちは、福岡県大牟田市で珍しい釜があることを知りました。それはグラウンドにラインを引く白い粉を作る釜で、300年ほど前から存在する歴史あるもの。日本には片手で数えるほどしか存在しないそうです。この釜に石灰石と炭を入れて高温で焼くと、皆さんがよく知るあの白い粉ができあがります。 この釜には、年に1回、火入れをします。最初の火入れはテスト運転なのですが、その時にできるものは品質が安定せず、製品としては使えません。そのためそのまま産業廃棄物として処分されます。私たちはこの石灰粉の背景に目を向けました。 300年以上の歴史を持つ釜、手作業で行われる火入れ、そして地元の人々の手によって守られてきた伝統技術。そうした要素が凝縮されたこの石灰粉には、他にはない時間と物語が宿っています。ACTA+では、この石灰粉をアーティストとともにアート作品へと昇華させる試みを始めていきたいと考えています。 縫製工場から出る生地耳 もう一つ、私たちが注目しているのが今治タオルの生産過程で出る「生地耳」です。生地耳とは、衣料の縫製を行う際の裁断工程で、デザインやサイズの都合で使われずに切り落とされる切れ端部分のこと。たった数センチの生地耳でも、数が増えるとトン単位の廃棄物になります。現代のファッション・アパレル産業では、大量生産が一般的です。衣料品を生産するたびに生み出される生地耳を芥として活用し、アート作品や雑貨作品に生まれ変わらせる取り組みを行なっています。 素材のルーツをたどれば、土地、文化、技術、そして人の営みが見えてくる。「芥」は、そのすべてを内包した証であると私たちは考えています。 なぜACTA+は「廃棄物」をアートにするのか 廃棄物は、消費社会が生み出すいわば影のような存在です。私たちは「アート」という手段で廃棄物に光を当て、社会の構造や生産と消費のあり方を問いたいと考えています。 「なぜ廃棄物は生まれたのか? どうしていらなくなってしまったのか?」 私たちは、この問いを投げかける手段としてアートを選択しました。ただ廃棄物を再利用するのではなく、「芥」として生み出された背景やストーリーを可視化し、観る人の内面に深く訴えかけるには、アートが最適だと感じたためです。 アートを通じて、不要なものとして見過ごされてきた廃棄物に光を当てて、生産と消費のあり方を問うことがACTA+の役割です。消費を重ねる現代において、便利さや効率性が重視される一方で、見過ごされているものがあまりにも多く存在します。 アートという形で芥を再提示することで、鑑賞者の心に静かに、しかし確かに問いを届けたい。廃棄物の背後にある歴史、手間、価値に思いを馳せるきっかけとなることを願っています。 終わりに:捨てられるものに、もう一度まなざしを 私たちは日々の生活を送る中で、膨大な量の情報やものを「見なかったことにして」暮らしています。消費の波に乗り、新しいものが次々と生まれる一方、役目を終えた芥の存在は視界の外へと追いやられがちです。 ACTA+が届けたいのは、その存在を見過ごされがちな芥の価値を問い直す、「再発見と再定義」の体験です。ACTA+の作品や取り組みが、「これは何からできているのか」「なぜここにあるのか」と考えてもらえるきっかけになれば幸いです。
廃棄物アートを通じて問いかけたいこと──本当に「芥」は役目を終えたのか?
「廃棄物」から思い浮かべるもの。山のように積み上げられたゴミ袋、海に漂流するプラスチック、腐敗した生ゴミ、役目を終えた家電製品。多くの人にとって、「廃棄物」とはネガティブなイメージと結びついているかもしれません。けれど、本当にそれらは「ただのゴミ」なのでしょうか。ACTA+では、それらを単なる「廃棄物」という言葉ではなく、「芥(アクタ)」と呼んでいます。芥とは、辞書には「ゴミ」や「くず」として表記されていますが、「人から見放されたもの」や「役目を終えたもの」を表す言葉としても使われます。社会から見捨てられ、一見、役割を終えたように見える芥。しかし、一つ一つの素材を掘り下げると、「廃棄物」という言葉では語りきれない「芥」としてのストーリーが見えてきます。 ACTA+が定義する「芥(アクタ)」とは ACTA+では、「役割を終えて社会のシステムからはみ出してしまったものたち」を「芥」と定義しています。何かを生み出すためには、どうしても不要なものが生まれます。例えば、エネルギーを生み出すために採掘された石炭の燃えかす。あるいは衣服を作る過程で生まれた生地耳(きじみみ)と呼ばれる裁断くず。こうしたものは、経済や暮らしを支える生産活動の中で生まれたものですが、役割を果たした瞬間に不要とされ、廃棄物として扱われます。 しかし、石炭のかすであればエネルギー資源、生地耳であれば衣服というように、ものを生産する過程で結果として不要になっただけで、本来は人々の暮らしを支えるために使われるはずだったもの。つまり、「人の手によって生産されたものの、その代償として生まれたもの」だといえます。私たちは、このようなものを「芥」と捉えています。 芥にはストーリーがあります。芥の生まれた場所とルーツをたどることで、ただの「廃棄物」では見えなかったストーリーが鮮明になります。私たちは「芥」に秘められた物語を発掘し、人々に伝えていきたいと考えています。芥がどこで生まれ、誰の手を経て生み出されたのか、ストーリーを知ることで新たな価値が見えてくるはずです。 ACTA+が見つけた「芥(アクタ)」のストーリー 大牟田・三池炭鉱の石炭かす 石炭は、日本の近代化や戦後の高度経済成長を支えた重要なエネルギー資源です。一方、炭鉱で排出される石炭かすやすすは大気汚染や健康被害などの要因になり得るため、負の遺産として捉えられがちです。 私たちは、福岡県大牟田市で珍しい釜があることを知りました。それはグラウンドにラインを引く白い粉を作る釜で、300年ほど前から存在する歴史あるもの。日本には片手で数えるほどしか存在しないそうです。この釜に石灰石と炭を入れて高温で焼くと、皆さんがよく知るあの白い粉ができあがります。 この釜には、年に1回、火入れをします。最初の火入れはテスト運転なのですが、その時にできるものは品質が安定せず、製品としては使えません。そのためそのまま産業廃棄物として処分されます。私たちはこの石灰粉の背景に目を向けました。 300年以上の歴史を持つ釜、手作業で行われる火入れ、そして地元の人々の手によって守られてきた伝統技術。そうした要素が凝縮されたこの石灰粉には、他にはない時間と物語が宿っています。ACTA+では、この石灰粉をアーティストとともにアート作品へと昇華させる試みを始めていきたいと考えています。 縫製工場から出る生地耳 もう一つ、私たちが注目しているのが今治タオルの生産過程で出る「生地耳」です。生地耳とは、衣料の縫製を行う際の裁断工程で、デザインやサイズの都合で使われずに切り落とされる切れ端部分のこと。たった数センチの生地耳でも、数が増えるとトン単位の廃棄物になります。現代のファッション・アパレル産業では、大量生産が一般的です。衣料品を生産するたびに生み出される生地耳を芥として活用し、アート作品や雑貨作品に生まれ変わらせる取り組みを行なっています。 素材のルーツをたどれば、土地、文化、技術、そして人の営みが見えてくる。「芥」は、そのすべてを内包した証であると私たちは考えています。 なぜACTA+は「廃棄物」をアートにするのか 廃棄物は、消費社会が生み出すいわば影のような存在です。私たちは「アート」という手段で廃棄物に光を当て、社会の構造や生産と消費のあり方を問いたいと考えています。 「なぜ廃棄物は生まれたのか? どうしていらなくなってしまったのか?」 私たちは、この問いを投げかける手段としてアートを選択しました。ただ廃棄物を再利用するのではなく、「芥」として生み出された背景やストーリーを可視化し、観る人の内面に深く訴えかけるには、アートが最適だと感じたためです。 アートを通じて、不要なものとして見過ごされてきた廃棄物に光を当てて、生産と消費のあり方を問うことがACTA+の役割です。消費を重ねる現代において、便利さや効率性が重視される一方で、見過ごされているものがあまりにも多く存在します。 アートという形で芥を再提示することで、鑑賞者の心に静かに、しかし確かに問いを届けたい。廃棄物の背後にある歴史、手間、価値に思いを馳せるきっかけとなることを願っています。 終わりに:捨てられるものに、もう一度まなざしを 私たちは日々の生活を送る中で、膨大な量の情報やものを「見なかったことにして」暮らしています。消費の波に乗り、新しいものが次々と生まれる一方、役目を終えた芥の存在は視界の外へと追いやられがちです。 ACTA+が届けたいのは、その存在を見過ごされがちな芥の価値を問い直す、「再発見と再定義」の体験です。ACTA+の作品や取り組みが、「これは何からできているのか」「なぜここにあるのか」と考えてもらえるきっかけになれば幸いです。
【東京・玉川高島屋】『ACTA+』ポップアップストアを開催。「飾る・使う」アートに出会える7日間
“飾る”と“使う”アートが集結。『ACTA+』ポップアップストアを東京・玉川高島屋で開催 2025年4月23日(水)から4月29日(火・祝)、東京・世田谷区の玉川高島屋本館1階イベントスペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』によるポップアップストアが開催されました。2024年10月に大阪高島屋で実施された初のポップアップストアが好評を得たことを受け、今回は東京・玉川での開催が実現。『ACTA+』としては2度目となる百貨店での展開となりました。 『ACTA+』のアーティストたちの手によって、手放された木片や布、陶片などの素材に感性と技術が重ねられ、それぞれが一点もののアート作品として展示・販売されました。 今回のポップアップのテーマは「“素材の記憶”を纏うインテリアアート」。『ACTA+』の多彩な作品の中から「飾るアート」と「使うアート」という2つの観点でセレクトされた作品が並びました。 「飾るアート」としては、空間に静かな存在感を与えるウォールアートや、場のアクセントとなる小型のオブジェなどを展示。「使うアート」では、牛乳パックで作られたクラッチバッグや、陶器片や古木を用いた花器など、日常生活に取り入れやすいプロダクトが展開されました。 来場者は、身近な素材がアートに生まれ変わる驚きや、「アートのある暮らし」を自由に想像し、楽しめる空間を体験していました。 【玉川高島屋ポップアップ 開催概要】・会場:玉川高島屋 本館1階 イベントスペース・所在地:東京都世田谷区玉川3-17-1・開催期間:2025年4月23日(水)〜4月29日(火・祝)・営業時間:10:00〜20:00 廃材に命を吹き込む、20名17名の『ACTA+』アーティストと素材の紹介 今回の玉川高島屋ポップアップストアでは、『ACTA+』に参加する多彩な2017名アーティストたちが、それぞれ異なる素材と向き合いながら、1点もののアート作品を制作・展示しました。 アーティストたちが手にしたのは、廃棄や手放されたモノや素材たち。誰かの生活の痕跡や、産業の裏側で静かに役目を終えた素材に、新たな命が吹き込まれます。 アーティストと彼らが用いた素材についてご紹介します。 ▼アーティストと作品に使用した素材の一覧 -aya kurata:廃棄された紐や毛糸 -Ryuhei Yoshida:廃棄された建築用木材 -chikako adachi:廃盤になったマニキュア -Yui Kobayashi:過去の発表作品 -Mitsuyasu Hatakeda:イタリアのフランチャコルタにあるぶどう園で使用されていた針金 -下野友嗣:捨てられた鉄くず -牡蠣殻クラフトOstrica:宮城産の牡蠣殻 -Nobuchika Takeuchi:使い古されたスケートボードの板 -ミルクぱく子:飲み終わった牛乳や豆乳のパック...
【東京・玉川高島屋】『ACTA+』ポップアップストアを開催。「飾る・使う」アートに出会える7日間
“飾る”と“使う”アートが集結。『ACTA+』ポップアップストアを東京・玉川高島屋で開催 2025年4月23日(水)から4月29日(火・祝)、東京・世田谷区の玉川高島屋本館1階イベントスペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』によるポップアップストアが開催されました。2024年10月に大阪高島屋で実施された初のポップアップストアが好評を得たことを受け、今回は東京・玉川での開催が実現。『ACTA+』としては2度目となる百貨店での展開となりました。 『ACTA+』のアーティストたちの手によって、手放された木片や布、陶片などの素材に感性と技術が重ねられ、それぞれが一点もののアート作品として展示・販売されました。 今回のポップアップのテーマは「“素材の記憶”を纏うインテリアアート」。『ACTA+』の多彩な作品の中から「飾るアート」と「使うアート」という2つの観点でセレクトされた作品が並びました。 「飾るアート」としては、空間に静かな存在感を与えるウォールアートや、場のアクセントとなる小型のオブジェなどを展示。「使うアート」では、牛乳パックで作られたクラッチバッグや、陶器片や古木を用いた花器など、日常生活に取り入れやすいプロダクトが展開されました。 来場者は、身近な素材がアートに生まれ変わる驚きや、「アートのある暮らし」を自由に想像し、楽しめる空間を体験していました。 【玉川高島屋ポップアップ 開催概要】・会場:玉川高島屋 本館1階 イベントスペース・所在地:東京都世田谷区玉川3-17-1・開催期間:2025年4月23日(水)〜4月29日(火・祝)・営業時間:10:00〜20:00 廃材に命を吹き込む、20名17名の『ACTA+』アーティストと素材の紹介 今回の玉川高島屋ポップアップストアでは、『ACTA+』に参加する多彩な2017名アーティストたちが、それぞれ異なる素材と向き合いながら、1点もののアート作品を制作・展示しました。 アーティストたちが手にしたのは、廃棄や手放されたモノや素材たち。誰かの生活の痕跡や、産業の裏側で静かに役目を終えた素材に、新たな命が吹き込まれます。 アーティストと彼らが用いた素材についてご紹介します。 ▼アーティストと作品に使用した素材の一覧 -aya kurata:廃棄された紐や毛糸 -Ryuhei Yoshida:廃棄された建築用木材 -chikako adachi:廃盤になったマニキュア -Yui Kobayashi:過去の発表作品 -Mitsuyasu Hatakeda:イタリアのフランチャコルタにあるぶどう園で使用されていた針金 -下野友嗣:捨てられた鉄くず -牡蠣殻クラフトOstrica:宮城産の牡蠣殻 -Nobuchika Takeuchi:使い古されたスケートボードの板 -ミルクぱく子:飲み終わった牛乳や豆乳のパック...
「正論」を「憧れ」に。ACTA+が描く持続可能性の形 ──ACTA+創業の背景と目指す場所
「ACTA+」は廃棄物をアート作品に生まれ変わらせ、持続可能性を「正論」から「憧れ」に変えることを目指すカルチャーブランドです。「やらなければいけない環境配慮」ではなく、「かっこいいから選びたくなる」文化を創るべく、アーティストと共に廃棄物の新たな価値を発信しています。 捨てられるはずの「芥」で持続可能な文化を創造 本社屋でのアート発表の様子 ACTA+は、廃棄物処理会社「株式会社ACTA PLUS」が立ち上げたカルチャーブランドです。ブランド名の「ACTA」は、「廃棄物」の意味で使われていた「芥(あくた)」に由来。「本来ならば捨てられるもの」を起点に、「アート」を通じて「自然と人との文化的共生」を図るべく活動を行っています。 ACTA+が目指しているのは、環境保護や持続可能性といった「やらなければいけないこと」が「憧れの存在」となる文化の創造です。「正論を、憧れに」をコンセプトに掲げ、国内外500名以上のアーティストと連携して廃棄物を素材としたアート作品の販売や企業向け企画など多様な事業を展開しています。そして、社会における「持続可能性」の文化を生み出すと同時に、アーティストへ活躍の場や報酬を還元する仕組みも構築しています。 どこか抽象的である「サステナビリティ」の概念をアート作品として可視化し、「憧れ」として社会に共有することで、自然に「環境に配慮する行動」が選ばれる新たな社会のスタンダードを築きたいと考えています。 環境に良いことを、“やらなきゃ”じゃなく“やりたい”に。正論を憧れに変えると決めた原体験 小学校への出張授業の様子 ACTA+は、廃棄物処理業を家業に持つ吉本龍太郎と橋本季和子が立ち上げました。吉本は「廃棄物が多く発生するほど事業が拡大する」業界の常識を変えるべく、廃棄物の新たな価値創造に挑戦。橋本は韓国での照明・空間デザインの経験を活かし、国内外の宿泊施設やアートコンテストの企画を手がけてきました。 廃棄物処理業界では、その特性から人材不足や産業衰退の危機に直面しています。若い世代が関心を抱き難い業界であることから人が集まりにくく、経験豊富な人材の確保が課題です。このような状況下で廃棄物処理業界が持続的に成長するためには、革新と変革が求められていると感じています。 吉本には、廃棄物処理業に携わる中で印象に残っている出来事があります。家業の一環で、吉本は環境学習として地域の学校へゴミ収集車を派遣し、ゴミの分別や3Rを教えていました。一見、子どもたちはゴミ収集車を間近で見ることに対して喜んでるように見えたものの、実際に話を聞くと「お母さんがゴミの分別をしなさいと言うから」といった反応。保護者の会話に耳を澄ませると、「ルールで決まっているから仕方なく分別しているけど、しなくていいならしない方がいい」との声が聞こえました。 「持続可能性」「環境保全」「サステナブル」などの耳馴染みの良いキーワードが、多くの人たちには「やらなきゃいけない」正論じみたものであることに気づいたのです。吉本は、「かっこいい」「憧れる」といった前向きな言葉で環境を伝える必要性を痛感し、ACTA+の立ち上げに至りました。 国内外のアーティストとコラボし廃棄物をアート作品に ネットワークを持つアーティスト例 ACTA+の事業の核は、「本来捨てられるはずのものからアートが生まれる」過程です。人間の手によって生産されたものの、その代償として生まれ、捨てるしかなくなったもの。こうした廃棄物がアーティストの手で1つの作品として再構築されることで、「環境に良いこと」や「サステナビリティ」といった正論が「心を動かす価値ある体験」、すなわち「憧れ」に変化すると考えています。 現在、ACTA+の事業は大きく分けて2つの柱で構成されています。1つはアート作品やプロダクトを販売する「アートプラットフォーム事業」です。ACTA+では、国内外のアーティストとコラボし、廃棄物を素材としたアート作品や日常使いできるプロダクトを販売しています。廃棄物の風合いを生かした一点もので、売上の一部はアーティストやサステナブルなカルチャー醸成の取り組みに還元されています。 もう1つは「企業向け企画事業」です。企業や自治体と連携し、廃棄物を活用したアート作品の展示や空間プロデュースを行っています。ホテルや大学施設へのアート納品、美術館での展示など多様なプロジェクトを展開しています。 アートプロジェクトやホテルや百貨店とのコラボに挑 ACTA+ ART AWARDでの最終プレゼンの様子(2024) ACTA+はアート作品の販売や企業向け企画以外にも、さまざまな企画に取り組んできました。「ACTA+ ART AWARD」は、2021年から開催している公募型のアートプロジェクトです。社会から不要だとされた「廃棄物」を起点とし、アーティストと一緒に「持続可能な文化」の模索を目的としています。2024年には、107名のアーティストから応募がありました。 TRUNK (HOTEL)yoyogi park(2023)...
「正論」を「憧れ」に。ACTA+が描く持続可能性の形 ──ACTA+創業の背景と目指す場所
「ACTA+」は廃棄物をアート作品に生まれ変わらせ、持続可能性を「正論」から「憧れ」に変えることを目指すカルチャーブランドです。「やらなければいけない環境配慮」ではなく、「かっこいいから選びたくなる」文化を創るべく、アーティストと共に廃棄物の新たな価値を発信しています。 捨てられるはずの「芥」で持続可能な文化を創造 本社屋でのアート発表の様子 ACTA+は、廃棄物処理会社「株式会社ACTA PLUS」が立ち上げたカルチャーブランドです。ブランド名の「ACTA」は、「廃棄物」の意味で使われていた「芥(あくた)」に由来。「本来ならば捨てられるもの」を起点に、「アート」を通じて「自然と人との文化的共生」を図るべく活動を行っています。 ACTA+が目指しているのは、環境保護や持続可能性といった「やらなければいけないこと」が「憧れの存在」となる文化の創造です。「正論を、憧れに」をコンセプトに掲げ、国内外500名以上のアーティストと連携して廃棄物を素材としたアート作品の販売や企業向け企画など多様な事業を展開しています。そして、社会における「持続可能性」の文化を生み出すと同時に、アーティストへ活躍の場や報酬を還元する仕組みも構築しています。 どこか抽象的である「サステナビリティ」の概念をアート作品として可視化し、「憧れ」として社会に共有することで、自然に「環境に配慮する行動」が選ばれる新たな社会のスタンダードを築きたいと考えています。 環境に良いことを、“やらなきゃ”じゃなく“やりたい”に。正論を憧れに変えると決めた原体験 小学校への出張授業の様子 ACTA+は、廃棄物処理業を家業に持つ吉本龍太郎と橋本季和子が立ち上げました。吉本は「廃棄物が多く発生するほど事業が拡大する」業界の常識を変えるべく、廃棄物の新たな価値創造に挑戦。橋本は韓国での照明・空間デザインの経験を活かし、国内外の宿泊施設やアートコンテストの企画を手がけてきました。 廃棄物処理業界では、その特性から人材不足や産業衰退の危機に直面しています。若い世代が関心を抱き難い業界であることから人が集まりにくく、経験豊富な人材の確保が課題です。このような状況下で廃棄物処理業界が持続的に成長するためには、革新と変革が求められていると感じています。 吉本には、廃棄物処理業に携わる中で印象に残っている出来事があります。家業の一環で、吉本は環境学習として地域の学校へゴミ収集車を派遣し、ゴミの分別や3Rを教えていました。一見、子どもたちはゴミ収集車を間近で見ることに対して喜んでるように見えたものの、実際に話を聞くと「お母さんがゴミの分別をしなさいと言うから」といった反応。保護者の会話に耳を澄ませると、「ルールで決まっているから仕方なく分別しているけど、しなくていいならしない方がいい」との声が聞こえました。 「持続可能性」「環境保全」「サステナブル」などの耳馴染みの良いキーワードが、多くの人たちには「やらなきゃいけない」正論じみたものであることに気づいたのです。吉本は、「かっこいい」「憧れる」といった前向きな言葉で環境を伝える必要性を痛感し、ACTA+の立ち上げに至りました。 国内外のアーティストとコラボし廃棄物をアート作品に ネットワークを持つアーティスト例 ACTA+の事業の核は、「本来捨てられるはずのものからアートが生まれる」過程です。人間の手によって生産されたものの、その代償として生まれ、捨てるしかなくなったもの。こうした廃棄物がアーティストの手で1つの作品として再構築されることで、「環境に良いこと」や「サステナビリティ」といった正論が「心を動かす価値ある体験」、すなわち「憧れ」に変化すると考えています。 現在、ACTA+の事業は大きく分けて2つの柱で構成されています。1つはアート作品やプロダクトを販売する「アートプラットフォーム事業」です。ACTA+では、国内外のアーティストとコラボし、廃棄物を素材としたアート作品や日常使いできるプロダクトを販売しています。廃棄物の風合いを生かした一点もので、売上の一部はアーティストやサステナブルなカルチャー醸成の取り組みに還元されています。 もう1つは「企業向け企画事業」です。企業や自治体と連携し、廃棄物を活用したアート作品の展示や空間プロデュースを行っています。ホテルや大学施設へのアート納品、美術館での展示など多様なプロジェクトを展開しています。 アートプロジェクトやホテルや百貨店とのコラボに挑 ACTA+ ART AWARDでの最終プレゼンの様子(2024) ACTA+はアート作品の販売や企業向け企画以外にも、さまざまな企画に取り組んできました。「ACTA+ ART AWARD」は、2021年から開催している公募型のアートプロジェクトです。社会から不要だとされた「廃棄物」を起点とし、アーティストと一緒に「持続可能な文化」の模索を目的としています。2024年には、107名のアーティストから応募がありました。 TRUNK (HOTEL)yoyogi park(2023)...
【インタビュー記事】休職中に見つけた「描くこと」が日常を変えた。マニキュアアートとchikak...
『ACTA+』のアーティストのひとりである chikako adachiさんは、2024年に開催された公募展「ACTA+ ART AWARD 2024」への参加をきっかけに、マニキュアを使った作品で注目を集めました。 会社員として働きながらアーティストとしても活動するchikako adachiさんの原点は、休職期間中に「使いかけのマニキュア」で自らを癒すために描いた絵でした。 現在は、日常の感情や街の風景、制作過程で生まれる“かけら”さえも表現に変え、日本国内にとどまらず台湾での個展など海外へも活動の場を広げています。 今回は、chikako adachiさんがマニキュアアートと出会い、作家として歩みを進めるまでのストーリーを伺いました。 インタビューをさせていただいたアーティストのchikako adachiさん。 「会社員×アーティスト」chikako adachiさんと『ACTA+』との出会い ――まずは、簡単に自己紹介をお願いします。 chikako adachiさん:私は1988年生まれで、出身は滋賀県です。生まれは京都の宇治ですが、その後一時奈良県に引っ越し、3歳のときに父が空手道場を開くタイミングで滋賀県に移りました。それ以来、ほぼ滋賀県で育ちました。 大学進学をきっかけに上京し、卒業後は東京で就職しました。広告制作の会社に約4年半勤めた後、イベント関連の会社に転職して2年半ほど勤務。そのうち、最後の半年間である2019年秋から2020年春にかけては休職していたのですが、「新しいことを始めたい」という思いから2020年5月に大阪に移住し、現在はアートギャラリー関連の会社で働いています。 2022年からは各地のアートコンペに応募を始め、会社員として働きながらアーティストとしての活動も本格的にスタートしました。 ――『ACTA+』との出会いを教えてください。 chikako adachiさん:2024年11月に、『ACTA+』が主催した廃棄物アートの公募展「ACTA+ ART AWARD 2024」に参加したことがきっかけです。準ファイナリストに選出していただき、マニキュアを使用した作品が「珍しい」と注目していただきました。 休職中、心の支えになった「描く時間」。マニキュアアートの始まり...
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【事後レポート】廃棄予定のマニキュアがアートに?“変わる”を体感する「マツダ×ACTA+」アー...
マツダ株式会社と『ACTA+』のコラボはなぜ生まれた?「変わること」への想いに共感 2025年2月6日(木)から3月30日(土)まで、東京・南青山にあるマツダ株式会社のブランド体感施設「MAZDA TRANS AOYAMA」2階展示スペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』とのコラボレーション企画展「ACTA+ Group Exhibition」が開催されました。 今回のコラボレーションは、「前向きに変わる、そのきっかけとなる場所」の意味を込めた施設名「MAZDA TRANS AOYAMA」のキーワード「TRANS(変わる・超える)」に、『ACTA+』が共感したことから実現しました。 本展では、『ACTA+』に所属する4名のアーティストが手がけた10点の作品が展示。廃棄物から生まれたとは思えないほどの美しさや力強さを備えた作品群は、「変わること」の可能性や希望を来場者に印象づけます。 また、展示期間中の3月8日(金)〜9日(土)には、『ACTA+』のアーティストの1人による一般来場者向けワークショップも開催。廃棄予定のマニキュアを使ってオリジナルキーホルダーを制作するこのプログラムでは、45名の参加者が創作を通じて「変化」を身近に体感できる貴重な機会となりました。 【「ACTA+ Group Exhibition」開催の概要】 ・会場:MAZDA TRANS AOYAMA 2F 展示スペース・所在地:東京都港区南⻘⼭5丁⽬6-19・展示期間:2025年2月6日(木)〜3月30日(土)・営業時間:午前10時00分〜午後6時30分(午前8時30分〜は1Fカフェのみ営業) 【ワークショップ開催の概要】 ・会場:MAZDA TRANS AOYAMA 2F 展示スペース・所在地:東京都港区南⻘⼭5丁⽬6-19・開催日時:2025年3月8日(金)〜9日(土)午前の部10:00-12:00 午後の部13:00-15:00※※9日の午前の部のみの実施 「アートの背景も作品も届けたい」厳選10作品の展示とEC連携のこだわりとは? 「ACTA+ Group...
【事後レポート】廃棄予定のマニキュアがアートに?“変わる”を体感する「マツダ×ACTA+」アー...
マツダ株式会社と『ACTA+』のコラボはなぜ生まれた?「変わること」への想いに共感 2025年2月6日(木)から3月30日(土)まで、東京・南青山にあるマツダ株式会社のブランド体感施設「MAZDA TRANS AOYAMA」2階展示スペースにて、廃棄物アート事業『ACTA+(アクタプラス)』とのコラボレーション企画展「ACTA+ Group Exhibition」が開催されました。 今回のコラボレーションは、「前向きに変わる、そのきっかけとなる場所」の意味を込めた施設名「MAZDA TRANS AOYAMA」のキーワード「TRANS(変わる・超える)」に、『ACTA+』が共感したことから実現しました。 本展では、『ACTA+』に所属する4名のアーティストが手がけた10点の作品が展示。廃棄物から生まれたとは思えないほどの美しさや力強さを備えた作品群は、「変わること」の可能性や希望を来場者に印象づけます。 また、展示期間中の3月8日(金)〜9日(土)には、『ACTA+』のアーティストの1人による一般来場者向けワークショップも開催。廃棄予定のマニキュアを使ってオリジナルキーホルダーを制作するこのプログラムでは、45名の参加者が創作を通じて「変化」を身近に体感できる貴重な機会となりました。 【「ACTA+ Group Exhibition」開催の概要】 ・会場:MAZDA TRANS AOYAMA 2F 展示スペース・所在地:東京都港区南⻘⼭5丁⽬6-19・展示期間:2025年2月6日(木)〜3月30日(土)・営業時間:午前10時00分〜午後6時30分(午前8時30分〜は1Fカフェのみ営業) 【ワークショップ開催の概要】 ・会場:MAZDA TRANS AOYAMA 2F 展示スペース・所在地:東京都港区南⻘⼭5丁⽬6-19・開催日時:2025年3月8日(金)〜9日(土)午前の部10:00-12:00 午後の部13:00-15:00※※9日の午前の部のみの実施 「アートの背景も作品も届けたい」厳選10作品の展示とEC連携のこだわりとは? 「ACTA+ Group...